研究課題/領域番号 |
23K07806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 やえ子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50749497)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | PRC1.1 / 炎症性細胞死 / インフラマソーム / MDS / ASC / ポリコーム / 骨髄異形成症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、感染や炎症時における造血細胞死誘導にPRC1.1 がどのような生理的役割を果たすのかを明ら かにし、炎症性細胞死を制御するエピジェネティック機構を理解すること、炎症性細胞死の制御不全が造血維持に与える影響、特にMDSの無効造血などの表現型の発現と病態の進行に果たす役割をモデルマウスの解析により明らかにすることを目的とする。これまでにポリコーム群複合体による炎症性細胞死制御に関しては全く不明であり本研究はポリコーム因子の新たな機能を提示するものと考えられる。また、本研究の成果は炎症を基盤としたMDSなどの疾患発症の理解と治療法開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
申請者らは、ポリコーム群複合体PRC1.1の構成因子であるPCGFやBCORの遺伝子欠損マウス(Pcgf1 cKO、Bcor cKO)の骨髄において、LPS投与により細胞死が誘導されることを見出した。本研究では感染や炎症による細胞死誘導にPRC1.1がどのような生理的役割を果たすのかを明らかにし、炎症性細胞死のエピジェネティック制御機構を明らかにする。またPRC1.1の機能低下は骨髄異形成症候群(MDS)の発症・進展に関与するが、一方で、MDSにおいてインフラマソームの活性化に伴う炎症性細胞死(パイロトーシス)が促進されているとの報告がされている。そこで骨髄細胞の炎症性細胞死の促進がMDSの病態の形成や進展に果たす役割を解明する。 まずPcgf1 cKO 骨髄細胞を用いてLPS投与前後の遺伝子発現プロファイルを取得した。Pcgf1 cKOでは好中球におけるNlrp3やIl1bといったパイロトーシス関連遺伝子群の発現誘導が亢進する一方で、単球ではむしろ減弱していた。また、細胞死の経路の同定のために炎症性細胞死であるパイロトーシスとネクロトーシスに注目し、パイロトーシス関連因子Gsdmdまたはネクロトーシス関連因子MlklとPcgf1との2重遺伝子欠損マウスを作製しLPS投与実験を行った。これらのマウスで著しい細胞死誘導がレスキューされることを期待したが、予想に反してレスキューされることはなかった。現在までにPcgf1 cKOで観察される細胞死の経路や種類の同定はできていない。 MDSとインフラマソームの活性化との関わりに関してはCBLΔE8-9/RUNX1S291fsを遺伝子導入したMDSモデルとインフラマソソーム構成因子ASCのKOマウスを組み合わせることにより解析を行なった。ASC KOマウスでは致死性のMDSに抵抗性を示し、有意に生存期間を延長することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながらPcgf1 cKOで観察される細胞死の経路や種類の同定はできていないが、MDSとインフラマソームの活性化との関わりに関しては解析を進めることができた。インフラマソームの活性化を阻害すると致死性のMDSに抵抗性を示し、有意に生存期間を延長することが明らかになった。この結果はMDSの新たな治療標的としてのインフラマソームの可能性を提示するものである。
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今後の研究の推進方策 |
感染や炎症による細胞死誘導にPRC1.1がどのような生理的役割を果たすのかを明らかにするために、Pcgf1 cKOで誘導される著しい細胞死の種類と誘導経路を明らかにしていきたいと考えている。 Pcgf1 cKOでは骨髄球分化が促進されており、野生型とは異なる骨髄球の構成を維持している。この骨髄球分化の違いが細胞死に関与している可能性を考え、Mac1陽性細胞を用いたscRNA-seqを行う予定である。また、細胞死の種類に関しても今年度注目したパイロトーシスとネクロトーシスだけでなく、Netosisなど他の炎症性細胞死にも注目し解析を進めていく予定である。
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