研究課題/領域番号 |
23K07807
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山本 淳一 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40748472)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | CRBN / IMiDs / 多発性骨髄腫 / セレブロン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多発性骨髄腫治療薬IMiDsの耐性メカニズムであるCRBNの発現低下を克服することを目指している。CRBNはIMiDsの薬効に必須の標的分子であり、その発現低下は薬剤抵抗性を引き起こすが、耐性を克服する有効な手段は報告されていない。本研究では多発性骨髄腫の生存におけるCRBNの役割に焦点を当て、CRBNの発現低下を伴うIMiDs耐性の克服に有効な治療標的を探索する。
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研究実績の概要 |
(1) 多発性骨髄腫の生存に関するCRBNの機能の解析。予備実験で用いたH929を由来とするCRBN発現低下株はレナリドミドだけでなくプロテアソーム阻害剤やデキサメタゾンに対する耐性も示した、これはこの耐性株が低濃度のレナリドミドに長期間暴露するという手法で樹立されたため、特異的ではない抗アポトーシス性の適応をしていることを示唆しており、CRBNの発現変化とは無関係の適応が多く起こっている可能性が高い。そこで、CRBNの発現低下を原因とする変化とそうでない変化を区別するため、Tet-onシステムによるCRBNのinducibleノックダウン及び、過剰発現系を樹立した。 (2) CRBN発現低下により増殖阻害を引き起こす手法と引き起こさない手法の比較。先行文献ではMM1.S株において、RNAiによるCRBNのノックダウンは顕著な増殖抑制を引き起こすが、市販のHomo-PROTAC protein degrader(サリドマイド誘導体を二つ連結した化合物)によるCRBNのプロテインノックダウンは増殖抑制を引き起こさない。これらの先行研究の再現実験を行い、それらの結果は再現された。Homo-PROTAC処理はノックダウンが不十分であった(3割ほど残る)ことが、増殖抑制を引き起こさない理由ではないかと示唆された。しかしながらMM1.SのCRBNのノックアウト株が報告されていることから、ノックダウンとノックアウトの表現型が異なることも示唆される。 (3) CRBNの発現低下と合成致死を引き起こす遺伝子の網羅的探索。多発性骨髄腫細胞においてsgRNAスクリーニングを実施するために、Cas9を恒常的に発現するMM1.S株とH929株を樹立した。また、スクリーニングに必要となるレンチウイルスの感染効率の確認や抗生物質による選択の条件検討などを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRBNの発現低下による多発性骨髄腫のへの影響を評価するためにTet-onシステムによるCRBNのinducibleノックダウン及び過剰発現系を樹立したが、残念ながらMM1.S株において毒性を示さないドキシサイクリン濃度においてはノックダウンと発現の両方共に発現量が不十分であったため。Tet-offシステムに切り替えて研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
多発性骨髄腫細胞株において、Tet-onシステムによるCRBNのinducibleノックダウン及び、exogenous発現系を樹立したが、残念ながらMM1.S株において毒性を示さないドキシサイクリン濃度においてはノックダウンと発現の両方共に発現量が不十分であった。そこで、Tet-offシステムに切り替えて研究を進める。樹立後にRNA-seqによって解析をする。 CRBNのノックダウンとノックアウトで表現型が異なる可能性が残されているために、その点を確認する。MM1.SのCRBNノックアウト株を樹立し、RNAiによるCRBNノックダウンと表現型や発現変動を比較する。その結果を受けて適切な手法によってCRBNを発現低下もしくは欠損した状態でsgRNAスクリーニングを行う。
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