研究課題/領域番号 |
23K07820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
アブドゥル アジズ 東海大学, 医学部, 特任講師 (50738789)
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研究分担者 |
八幡 崇 東海大学, 医学部, 教授 (10398753)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 幹細胞 / がん幹細胞 / PAI-1 / 細胞運動能制御 / 再生医療 / がん治療 / 運動能の制御 / プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1) |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞のニッチにおける静止と離脱を司る細胞運動能制御機構は幹細胞活性制御の根幹をなす基本原理である。幹細胞の静止状態は細胞周期の制御のみが注目されてきたことから、肝心の運動能の制御機構には不明な点が多い。PAI-1が幹細胞の運動能を抑制することによってニッチに静止させることを突き止めた。開発したPAI-1阻害剤を投与すると、幹細胞の運動能が亢進しニッチから離脱して末梢に遊走し、PAI-1活性の増減によって幹細胞の運動能が決定されるという独自の着眼点を得た。そこで本研究では、幹細胞の運動能制御の分子機序を解明し、その運動能制御機構を利用した新しい再生・がん治療コンセプトの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
幹細胞にG-CSFを添加すると、リン酸化Smad3およびPAI-1の発現が抑制されたが、FurinとMT1-MMPの発現が増強したことを見出した。さらに、G-CSFはcAMP, リン酸化PKAとリン酸化CREBの発現を増強したことを明らかにした。また幹細胞のTGF-b添加培地に、G-CSFの濃度を段階的に高めて添加し、ニッチにおいてTGF-bによって運動能が抑制されている幹細胞に遊走因子が作用し運動能を付与するに至る状況を再現した。SmadとCREBに結合するp300の割合の変化とMT1-MMP発現や遊走能の相関をFACSやIn Situ近接ライゲーションアッセイ(PLA)の解析行った。その結果、G-CSFによってp300/pSmad3複合体の数(赤色点の数)が減少したが、p300/pCREB複合体の数が増強したことから遊走促進因子G-CSFがp300をpSmad3から奪ってpCREBへ結合させることによって、TGF-bによる幹細胞の運動能の抑制を解除することを実証した。 PAI-1分子を阻害することで幹細胞の運動能を制御する応用としてPAI-1阻害剤(TM5614)を用いた。活性PAI-1の機能をPAI-1阻害剤で抑制し、マウス骨髄から末梢血に幹細胞を動員することによって、骨髄に空きニッチが形成され、化学療法や放射線療法の移植前処置なしでもマウスの骨髄移植が可能にした。さらに、血液がんにおいて、分子標的薬Imatinib(IM)とPAI-1阻害剤を併用することで、ニッチからがん幹細胞が離脱し、より血液がん治療の感受性が達成され、マウス生存の延命も見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りPAI-1活性を阻害することでマウス骨髄から末梢血に幹細胞を動員することによって、骨髄に空きニッチが形成され、化学療法や放射線療法の移植前処置なしでもマウスの骨髄移植が可能にした。さらに、血液がんにおいて、分子標的薬Imatinib(IM)とPAI-1阻害剤を併用することで、ニッチからがん幹細胞が離脱し、より血液がん治療の感受性が達成され、マウス生存の延命も見出した。これの結果からPAI-1は造血幹細胞およびがん幹細胞の運動性を制御することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
実験の再現性を確認し、固形がんモデルマウスを用いて検証実験を行う。
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