研究課題/領域番号 |
23K07825
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 祐介 北海道大学, 大学病院, 医員 (20585674)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 白血病幹細胞 / ハイドロゲル / 酸化的リン酸化 / がん代謝 / OXPHOS |
研究開始時の研究の概要 |
1) ハイドロゲルによる白血病幹細胞(LSC)誘導法を開発する。2) ハイドロゲルによるLSC誘導の鍵となる代謝経路と代謝産物を同定する。3) ハイドロゲルで誘導したLSCによるPDXを樹立し新たな白血病モデルを樹立する。これらの研究により難治性かつ希少なAMLでのLSCの治療抵抗性のメカニズムを解明し、新規治療開発のための新たな疾患解析モデルを創出する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ハイドロゲルによるAMLの白血病幹細胞(LSC)誘導方法を開発し、代謝解析・オミクス解析によりLSC誘導の鍵となる代謝経路と治療標的を同定する。2023年度は1.AML細胞株を用いたハイドロゲル培養方法の確立と細胞生存率とLSCマーカーの検討、2.ハイドロゲル培養AML細胞株の代謝解析を施行した。 (方法)白血病細胞株K562、MOLM13を4種類のハイドロゲル上で培養し、細胞増殖能や生存率および適切な培養条件を検討した。ハイドロゲルの白血病幹細胞の誘導能を検討するため、定量PCRでがん幹細胞マーカー、白血病幹細胞マーカーの遺伝子発現解析を行った。また、ハイドロゲル培養による代謝変動を解析するため、ゲル上で培養した白血病細胞株の解糖系と酸化的リン酸化のエネルギー代謝能をXFアナライザーで計測した。さらに、in vivoにおける白血病発症能を評価するため、ゲル上で培養後にSCIDマウスの脳に移植し、腫瘍形成能を検討した。 (結果)K562、MOLM13をハイドロゲルで7日間培養するとがん幹細胞マーカーと白血病幹細胞マーカーの発現亢進と血球分化マーカーの発現低下を認めた。ハイドロゲルで培養したK562、MOLM13において、ミトコンドリアでの基礎呼吸能と最大呼吸活性の上昇を認めた。また、解糖系と酸化的リン酸化のエネルギー比率を算出し、酸化的リン酸化へのシフトを認めた。ゼノグラフト実験では、ゲル上で培養したK562において、マウス脳室腔に腫瘍の増殖がみられた。 (結論)ハイドロゲルは白血病細胞の代謝を酸化的リン酸化にシフトさせることで幹細胞性獲得に寄与していることが示唆された。また、ハイドロゲルで培養することで白血病発症能が亢進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は予定通り白血病細胞株を用いた研究により、4種類のハイドロゲルのうち最もLSC誘導に適したゲルを同定しプロトコールを確立した。当初、メタボロームやトランスクリプトーム解析を行う予定であったが、シングルセル解析にシフトし良好な結果を得た。また、免疫不全マウスを用いたin vivo解析にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は患者検体を用いたLSC誘導法を確立し、治療標的を同定する。 北海道大学病院小児科で採取したAML検体5例およびALL10例を単核球分離し各種ハイドロゲルで培養する。診断時の患者検体と比較してフローサイトメトリーでLSCマーカーの陽性率が上昇するゲルを同定する。次にハイドロゲルで培養した患者検体を採取し、細胞増殖率・生存率を測定する。培養方法は2023年度にAML細胞株で樹立した条件を用い、さらに白血病検体の確立した2次元培養法と生存率、LSCマーカーの発現率を比較しハイドロゲル培養の優位性を示す。LSC誘導能が高いハイドロゲルについてメタボローム解析とRNAシークエンスあるいはシングルセル解析を行い、LSC誘導で活性化される代謝経路と代謝産物を同定する。LSC誘導に必須な代謝経路の阻害化合物が存在する症例について、阻害化合物が実際にLSC誘導あるいは細胞増殖抑制が可能であるかin vitroで評価し治療標的候補とする。
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