研究課題/領域番号 |
23K07831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐々木 知幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40739124)
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研究分担者 |
井上 克枝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
白井 俊光 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50710381)
大石 沙織 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50894094)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | COVID-19 / SARS ~CoV-2 / 血栓症 / 血小板 / SARS-CoV-2 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は,すでに,SARS-CoV-2が宿主細胞へ感染するために必須とされるスパイクタンパク質の遺伝子組換え体の作製と精製システムを構築している.さらに,全血を用いたマイクロ流路実験において,アルファ株由来のスパイクタンパク質が血栓形成を引き起こす知見を得ており,特徴の異なる他の変異株(デルタやオミクロン株など)の解析と比較から本研究を展開する.
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(以降COVID-19)の世界的大流行が始まって以来,その病態の重症化に血栓症が深く関与していることが知られている.また,COVID-19は,その原因ウイルスSARS-CoV-2のゲノム変異を繰り返しながら流行が継続しており(従来株,アルファ,デルタやオミクロン株など),罹患後も数か月間に渡って血栓症のリスクが高いと報告されている.しかしながら,COVID-19患者において,血栓形成の本体である血小板が過剰な活性化状態にあることが認められているものの,SARS-CoV-2と血小板との相互作用については一致した見解がなく,血栓形成 の分子メカニズムは不明のままである.本研究では,このメカニズムを解明し,根拠に基づく治療および予防に繋げることが目的である. 我々は,すでに,SARS-CoV-2が宿主細胞へ感染するために必須とされるスパイクタンパク質の遺伝子組換え体の作製と精製システムを構築している.さらに,全血を用いたマイクロ流路実験において,アルファ株由来のスパイクタンパク質が血栓形成を引き起こす知見を得ており,特徴の異なる他の変異株(デルタやオミクロン株など)の解析と比較から本研究を展開する.令和5年度(2023)では,準備段階として,アルファ株に加えて,従来株(Wuhan D614G変異)およびオミクロン株由来のスパイクタンパク質遺伝子をクローニングし,発現ベクターを構築した.さらに,CHO細胞への遺伝子導入,得られた培養液からのスパイクタンパク質の精製,ACE2への結合機能の確認を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スパイクタンパク質による直接的な血小板の活性化は一貫して認めていない(これに関する報告は複数あり,議論は割れている).私たちは,スパイクタンパク質による血栓形成能については,全血を用いたマイクロ流路実験で再現性良く観察できている.この流路実験には,ミリグラムオーダーのスパイクタンパク質が必要である.しかしながら,スパイクタンパク質の発現量の低さのため,今年度クローニングした従来株やオミクロン株由来のスパイクタンパク質の準備がやや遅れている.発現量を改善するための手法も検証しながら進めている(遺伝子導入方法や細胞株の変更,恒常的発現細胞の樹立など) 一方で,R6年度(次年度)からの予定であったSARS-CoV-2ウイルスを用いた検証のためのウイルス培養はすでに進めている.高力価のウイルスを得られている. 以上のことから,全体の進捗状況は,やや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が血小板血栓の形成に関与することが予想されているが,不明点が多く(データの信頼性も含めて),直接的な証拠がいまだにない.我々は事前の検討において,その証拠を得ており,そのメカニズムの解明のためのスタート地点に立っている.スパイクタンパク質あるいはウイルスが引き起こす血栓形成の分子メカニズムを解明する手法として,マイクロ流路デバイスを採用する.この方法は,マイクロ流路内に全血を流し,顕微鏡下でリアルタイムあるいはエンドポイントの血 栓形成を観察することが可能である.サンプルが全血の場合は処理が不要で簡便であり,さらに血液を再構成することで免疫細胞などとの相互作用によって血栓形成に寄与しているかを明らかにすることが可能である. 次年度は,本年度に引き続き,従来株とアルファ株由来のスパイクタンパク質の準備を進める(ミリグラムオーダー). 実験は1~5を計画している.1~3を優先し,進行状況を考慮して,4と5と進める. 1:各株(アルファ,デルタ,オミクロン)由来のスパイクタンパク質による血栓形成能の検証. 2:再構成した全血を用いたスパイクタンパク質に より惹起される血栓形成メカニズムの解明. 3:血小板/巨核球におけるACE2発現の有無の検証とACE2獲得能の検証. 4:SARS-CoV-2ウイルスあるいはスパイクタンパク質による血小板産生に与える効果の検証. 5:SARS-CoV-2以外のウイルス由来の表面タンパク質による血栓形成能の検証.
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