研究課題
基盤研究(C)
NK/T細胞リンパ腫は東アジアに多く発生し、世界の国と地域で病態が異なり様々な治療が行われている。NK/T細胞リンパ腫の診断時病態、最適な治療アプローチ、リスク因子を明らかにするため、先行研究 (NKEA)に続く新たな国内調査研究 (NKEA-Next)、その成果を利活用した国際共同研究 (NKEA-ALL)、および関連疾患のアグレッシブNK細胞リンパ腫との併合解析を行う。
本研究では、先行基盤研究Cで実施した「新世代治療導入後の未治療節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)における治療実態把握と予後予測モデル構築とを目的とした国内および東アジア多施設共同後方視的調査研究(NKEA)」Part A対象後の8年間に診断された国内患者データベースの構築とその解析(NKEA-Next)を行い、次いでその成果を利活用した国際共同研究、および関連疾患のアグレッシブNK細胞白血病との併合解析を実施することで、NK/T細胞リンパ腫の病態把握と治療の最適化を目指している。令和5年度では、取り組み1「2014-2021年に診断された国内患者のデータベース構築、およびそれを用いた解析による病態・治療選択・予後の推移と最新の病態・治療実態の解明(NKEA-Next)」に関して、限局期の解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会の一般ポスターセッションで、進行期の解析結果を第17回国際悪性リンパ腫会議のポスターセッションで発表した。ともに現在論文執筆中である。取り組み2「NK/T細胞リンパ腫の病態把握と治療最適化を目指す国際研究(NKEA-ALL)」については、研究コンセプトシートの作成と、国外研究者への打診を行った。現在研究計画書を作成中である。取り組み3「進行期NK/T細胞リンパ腫とアグレッシブNK細胞白血病の併合解析」については、開始に先立ち取り組み1で実施中のNKEA-Nextと、研究分担者が代表としてほぼ同時期に開始したアグレッシブNK細胞白血病に関する多機関共同後方視的研究(ANKL22)の研究計画書の変更申請を行い、承認を得た。その後NKEA-Nextデータベースから進行期例を抽出し、ANKL22登録例との併合解析を、病態と治療反応性の異同および適した移植を明らかにすることを目的として開始した。
2: おおむね順調に進展している
3つの取り組みのいずれも予定通りに進捗している。
NKEA-Next研究の限局期と進行期の論文公表を行い、成果を広く国内外へアピールする。取り組み2の国際研究の成功が鍵となるため、研究デザインは参加する国と地域の研究者と十分議論の上に設定する。NK腫瘍に関する自施設あるいは共同での試料解析研究について引き続き検討する。取り組み3の併合解析結果を予定通り2025年内に報告できるよう努める。国内および海外研究者との打ち合わせは可能な限りWeb会議で行い、情報の迅速な共有を行う。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
血液内科
巻: 86 ページ: 482-487