研究課題/領域番号 |
23K07836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小田原 淳 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30825154)
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研究分担者 |
菊繁 吉謙 九州大学, 大学病院, 講師 (40619706)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 白血病幹細胞 / 治療抵抗性 / S1PR1 / SPHK1/2阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
がん幹細胞は、がんを構成する細胞の階層の頂点に位置し、遺伝子異常を集積することにより進化と選択を繰り返していく。急性骨髄性白血病(AML)における白血病幹細胞は、化学療法あるいは免疫監視機構に対して高い治療抵抗性を示し、この残存・潜伏した白血病幹細胞が再増殖することにより最終的にAML再発に至ることも明らかとなっている。我々は、化学療法後に残存する白血病幹細胞に特異的に高発現するS1PR1シグナル経路について解析を行い、白血病幹細胞の薬剤耐性機構を明らかにすることで、このシグナル経路を標的とした新規AML治療戦略の構築に取り組む。
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研究実績の概要 |
造血器腫瘍分野においては、いわゆる「がん幹細胞」の存在が広く認められている。がん幹細胞はがんを構成する細胞の階層の頂点に位置し、がんの進展は遺伝子異常の集積により成立したがん幹細胞の進化と選択に依存する。急性骨髄性白血病(AML)における白血病幹細胞は、最初に純化されたヒトがん幹細胞である。白血病幹細胞は、化学療法あるいは免疫監視機構に対して高い治療抵抗性を示し、治療後に残存、潜伏する白血病幹細胞が再増殖することにより最終的にAML再発に至ることも明らかとなってきた。すなわち、白血病幹細胞の根絶がAMLの治癒を目指す上で非常に重要であることが明らかとなった。我々は先行研究において、治療後潜伏期ヒト白血病幹細胞のsingle cell RNAシーケンス解析から、複数の症例で共通して、潜伏期にのみ高発現する遺伝子群の一つとしてスフィンゴシン1リン酸受容体(S1PR1)を同定している。すなわち、本研究課題においては、この残存、白血病幹細胞が治療後残存、潜伏期に特異的に高発現するS1PR1シグナル経路について解析を行い、このシグナル経路を標的とした新規AML治療戦略の構築に取り組む。2023年度は、患者AML細胞を用いた細胞表面へのS1PR1発現を複数症例の検体を用いて解析し、先行データに合致して、診断時サンプルと比較して寛解潜伏期サンプルでは、細胞表面へのS1PR1発現がタンパクレベルで上昇することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の予定通りに遅滞なく遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)S1P合成経路の評価 2023年度の研究により、先行研究データの通りにタンパクレベルでのS1PR1上昇が患者AML細胞を用いて確認することができた。S1PR1のリガンドとしてS1Pが存在するが、S1PはS1PR1を発現する細胞自身が合成し、autocrine様式で分泌することが多くの細胞で知られている。そこで、受容体のタンパクレベルでの発現上昇が認められたことからリガンドであるS1Pの合成系について2024年度は解析を行う。具体的にはS1P合成酵素であるSPHK1/2のshRNAを用いたノックダウン実験、および特異的inhibitorを用いたin vitroでのS1P合成阻害実験を行い、S1P合成阻害によるAML細胞の生存、増殖について評価を行う。 2)S1PR1シグナル下流で生じる遺伝子発現変化の解析 上述の様にS1P合成経路阻害によりautocrine様式で生じると考えられるS1PR1シグナル遮断を行い、その結果どの様な遺伝子発現変化が生じるかについてRNAシーケンス解析を行い、AML細胞においてS1PR1シグナル下流の分子メカニズムの解明を試みる。
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