研究課題/領域番号 |
23K07880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
松宮 遼 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20795372)
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研究分担者 |
岩田 慈 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60389434)
藤井 隆夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70255462)
井上 徳光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80252708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / B細胞 / 補体 / シェーグレン症候群 / ANCA関連血管炎 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)は、いまだunmet medical needsの多い急性/亜急性あるいは慢性の多様な臓器病変を呈する症候群である。近年、夜間血色素尿症や非典型溶血性尿毒症症候群、ANCA関連血管炎に対し補体をターゲットとした治療の有用性が報告されている。SLEもB細胞異常、補体異常を来す代表的な膠原病であり、本研究ではSLEにおけるB細胞と補体活性化の関連、これらの病態への関与を明らかにし、補体標的治療の臨床応用、患者特性に合わせたプレシジョン・メディシンに有用なバイオマーカー探求を目的としている。
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研究実績の概要 |
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)は、いまだunmet medical needsの多い急性/亜急性あるいは慢性の多様な臓器病変を呈する症候群である。近年、夜間血色素尿症 (PNH)や非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ANCA関連血管炎(ANCA-associated vasculitis: AAV)に対し補体をターゲットとした治療の有用性が報告されている。特にAAVではグルココルチコイド(GC)、B細胞除去療法リツキシマブにC5a受容体阻害薬アバコパンを追加することでGC作用を代償する明らかな上乗せ効果が報告された。一方SLEもB細胞異常、補体異常を来す代表的な膠原病であり、SLEでもB細胞と補体の両者を標的とした治療は今後新たな治療戦略となると考えた。本研究では、SLEにおけるB細胞と補体活性化の関連、これらの病態への関与を明らかにし、補体標的治療の臨床応用、患者特性に合わせたプレシジョン・メディシンに有用なバイオマーカー探求を目的としている。 全身性エリテマトーデスではしばしばシェーグレン症候群(sjogren's syndrome: SS)が合併することが知られている。補体成分C4の遺伝子のコピー数の低コピー数はSLEのリスク因子であり、またC4の低コピー数は抗SS-A抗体及び抗SS-A抗体の陽性と関連することが報告されている。我々はSLE患者における抗SS-A抗体及びSSの合併に関し着目し、抗SS-A抗体陽性SLEにおけるSSの合併率や抗体やSSの有無による補体プロファイルの相違を明らかとすることとした。2023年度においては抗SS-A抗体陽性SLEにおけるSSの合併率を明らかにし、その成果の学会発表を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の計画としてはAAV患者での検討として、健常人 (目標例数:20例)およびAAV患者 (目標症例数:30例)において、GC治療開始前、B細胞除去療法リツキシマブ治療開始前、C5a受容体阻害薬アバコパン開始前、投与後2週後、6ヶ月後の末梢血を採取、血漿・血清成分を分離し凍結保存、後日(1) 補体活性化経路の解析 (a) B細胞表面マーカー/サブセット解析(b) B細胞サブセットにおける補体受容体の発現解析を行う予定であったが、症例数の問題、また本邦で多いANCA関連血管炎である顕微鏡的多発血管炎では高齢患者が多いこともあり、他施設への転院等のため、十分なフォローアップができない例が多く、症例の収集が遅れている。それに伴い2024年度、2025年度に予定していたSE患者での解析を優先することとした。前項でも記載した通りだが、全身性エリテマトーデスと補体系、抗SS-A抗体の関連に着目し、抗SS-A抗体陽性SLE患者でのSSの合併率及びその詳細な内訳、補体系の解析のための血漿、血清の収集を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、収集可能な症例数の問題はあるがAAVでのデータの収集は引き続き継続するが、当初より主題としていた全身性エリテマトーデスとB細胞、補体系の連関を明らかとすることを主軸として研究を進めていく予定である。 全身性エリテマトーデスではしばしば抗SS-A抗体が陽性となり、SSが合併することが知られている。補体成分C4の遺伝子のコピー数の低コピー数はSLEのリスク因子であり、またC4の低コピー数は抗SS-A抗体及び抗SS-A抗体の陽性と関連することが報告されている。我々はSLE患者における抗SS-A抗体及びSSの合併に関し着目し、抗SS-A抗体陽性SLEにおけるSSの合併率やその詳細につき明らかとした。今後はSLEにおいて抗SS-A抗体やSSの合併の有無によ補体プロファイルの相違も含めて、SLEとB細胞、補体系との関連につき明らかとしていく予定である。 健常人 (目標20例)とSLE患者(目標50例)を目標とする。健常人とSLE患者の検体より得られた補体活性化経路、B細胞上の補体受容体の発現量、B細胞サブセットの割合について、両者での相違の有無を解析する。それらと患者背景 (年齢、性別、罹病期間、疾患活動性指標 (SLEDAI-2K, BILAG index)、炎症反応 (WBC, CRP, ESR)、自己抗体産生 (抗ds-DNA抗体、抗Sm抗体))、治療反応性 (有効性、治療抵抗性の有無、有害事象の発症)との関連解析を行う。さらに得られた研究結果をweb上に公開されているトランスクリプトーム解析情報(in silico解析)とも照らし合わせて妥当性を検証を行っていく。
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