研究課題/領域番号 |
23K07893
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉藤 元 京都大学, 医学研究科, 講師 (20422975)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / B細胞 / チミジル酸シンターゼ |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに,エリテマトーデス(SLE)のB細胞で高発現する分子の網羅的探索を行い,候補分子の中から,健常者および他の膠原病患者と比べて発現差が際立っていたチミジル酸シンターゼ(TYMS)に注目した.本研究では,TYMSがSLE患者のB細胞分化を促進して病態形成に関連するかどうか,TYMSがSLEの治療標的になりうるかを検証する.本研究では,培養細胞と動物モデルを用いた基礎研究を計画し,次段階としての患者に対する臨床試験の理論的根拠を得る.
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研究実績の概要 |
本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者のB細胞におけるチミジル酸シンターゼ(TYMS)の高発現とその機能的役割に注目している。SLEは自己抗体の生成を特徴とする自己免疫疾患であり、腎症の合併症を伴う場合には、治療が困難であり再発のリスクも高い。初治療での自己反応性B細胞の効果的な制御が、疾患管理における重要な課題である。本研究の主目的は、TYMSがSLE患者のB細胞分化を促進し、病態形成にどのように寄与しているかを明らかにすることである。具体的には、SLE患者の末梢血から採取したB細胞サブセットにおいて、TYMS遺伝子の発現が健常者と比較して有意に高いことが確認された。研究過程では、レンチウイルスベクターを用いた遺伝子工学技術により、TYMS遺伝子のノックダウンおよび過剰発現が可能な細胞系の構築に成功した。B細胞系の一つであるRamos細胞へのTYMS遺伝子の導入も成功したことは、B細胞の分化及び増殖におけるTYMSの具体的影響を評価する基盤を提供する。これらの進捗により、SLE患者のB細胞分化におけるTYMSの役割への理解が深まり、SLE及び健常者由来のB細胞におけるTYMSの発現パターンの比較分析を通じて、自己免疫疾患の病態メカニズムの解明に貢献することが可能となった。レンチウイルスベクターを活用した遺伝子工学技術を駆使して構築された解析システムは、今後の研究における重要なツールとなる。以上の成果は、SLEの病態理解のための進展であり、将来的に新たな治療法の開発につながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者のB細胞におけるチミジル酸シンターゼ(TYMS)の高発現とその機能的役割を明らかにすることを目的としている。研究の焦点は、SLEにおけるB細胞の分化促進、病態形成への関与、およびTYMSが治療標的としての潜在性を探ることにある。2023年度の研究進捗では、SLE患者のB細胞においてTYMSの高発現が確認された。具体的には、SLE患者の末梢血から採取したB細胞サブセットで、TYMS遺伝子の発現量が健常者と比較して有意に高いことが確かめられた。また、健常者由来のB細胞を用いた分化誘導実験からは、TYMS発現が活性化B細胞において特異的に亢進する可能性が示された。この結果から、TYMS発現がSLE特有の自己反応性B細胞だけではなく、より広範なB細胞活性化プロセスにも関連している可能性が示唆された。本研究では、レンチウイルスベクターを活用した遺伝子工学技術を用いて、TYMS遺伝子のノックダウンおよび過剰発現が可能な培養細胞系を構築した。さらに、B細胞系の培養細胞であるRamos細胞へのTYMS遺伝子の導入が成功した。この進展により、B細胞の分化および増殖能に対するTYMSの具体的な影響を評価し、SLE患者のB細胞分化におけるTYMSの関与についての理解を深めることが可能になった。まとめると、SLE患者及び健常者由来のB細胞におけるTYMSの発現パターンを比較することで、自己免疫疾患の病態メカニズムに関する理解をさらに進めることができた。レンチウイルスベクターを活用した遺伝子工学技術を用いて、今後の解析につなげるシステムを構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者のB細胞におけるチミジル酸シンターゼ(TYMS)の機能的役割を解明することを目的としており、その達成に向けた今後の推進方策を以下に述べる。初年度の研究進捗に基づき、今後は遺伝子改変培養細胞を用いたTYMSの機能解析を深化させる。具体的には、レンチウイルスベクターを活用して、培養B細胞(セルライン、患者細胞、健常者細胞)に対するTYMS遺伝子のノックダウン(KD)および過剰発現(Tg)を行う計画である。これにより、TYMSが自己反応性B細胞の分化および増殖を促進するかどうかの検証を進める。作製されたTYMS-KD細胞とTYMS-Tg細胞にCPGとIFN-αを添加し培養することで、各B細胞サブセットの分化能を解析する。このプロセスにより、TYMSがB細胞の分化に及ぼす影響を詳細に調べることができる。さらに、TYMS-KD細胞とTYMS-Tg細胞にIgM/IgG架橋刺激を加えた後の培養を行い、細胞の増殖と生存をCFSE染色とPI/Annexin V染色で確認する。これらの実験により、TYMSがB細胞の活性化および生存にどのように関与しているかを明らかにする。この段階的なアプローチにより、TYMSがSLE患者のB細胞分化を促進して病態形成に関連するかどうか、さらにTYMSがSLEの治療標的になり得るかどうかを科学的根拠に基づいて検証する。また、この研究プロセスを通じて、SLEの病態理解を深め、新たな治療法の開発に寄与することを目指す。
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