研究課題/領域番号 |
23K07900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
松下 一史 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20581549)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 即時型過敏反応 / Th2 / IgE / 肥満細胞 / Th2細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
アレルギー性鼻炎は本邦ではもはや国民病と言っても過言ではない。アレルギー性鼻炎の本質はIgEを介した即時型過敏反応であるが、血中アレルゲン特異的IgE値の高い人が必ずしもアレルギー性鼻炎を発症する訳ではない。したがって、アレルギー性鼻炎の発症には血中IgE値の上昇に加え、もう一段階のイベントを必要とする可能性がある。本研究では申請者が樹立した新規マウスモデルを用いることでアレルギー性鼻炎の発症における鼻局所Th2細胞の役割、全身性ならびに局所IgE産生の役割を明らかにする。また、鼻炎症状の誘導に関わるTh2細胞の特徴を明らかにし、Th2細胞を標的としたアレルギー性鼻炎の新規治療法を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究はアレルギー性鼻炎の即時型反応の誘導におけるTh2細胞ならびに全身性IgEの役割を検討する目的で、受動免疫によりアレルギー性鼻炎を誘発するマウスモデルを用いた解析を行っている。 2023年度は①Th2細胞による鼻局所IgE産生誘導メカニズムの詳細として、内因性にIgEを産生できないAID欠損マウスをレシピエントとして使用しくしゃみ反応が誘導されないことを見出した。さらにCNS2欠損マウス(Tfh細胞からIL-4が産生されない)由来Th2細胞を移入した場合、くしゃみ反応が誘導されず、またこのTh2細胞をIgE-venusマウスに移入した場合、IgE産生も誘導されないことを見出した。したがって、アレルギー性鼻炎の即時型反応の誘導におけるTh2細胞の役割は鼻局所におけるIgE産生の誘導であることが強く示唆された。 また、②全身性IgEの役割を検討する目的で抗CD200R3抗体(好塩基球の除去)ならびに抗CD23抗体(FceRIIの阻害)を試したが、くしゃみ反応に及ぼす影響は認められなかった。一方、OVA-Th2存在下においてOVA-IgE投与/OVA点鼻の代わりにCompound48/80点鼻により肥満細胞の脱顆粒を誘導してもOVA誘導性のくしゃみ反応を誘導することができた。さらに、Verigemマウスを用いることで、Compound48/80点鼻によりくしゃみ反応の誘発と相関して頸部リンパ節にIgE陽性B細胞が誘導されることを見出した。 以上よりアレルギー性鼻炎の即時型反応の誘導におけるTh2細胞の役割としては、局所でのIgE産生を誘導すること、さらに、全身性のアレルゲン特異的IgEの役割としては肥満細胞の脱顆粒を介して、局所での(Th2細胞の活性化を介して)IgE産生を誘導することによりアレルギー性鼻炎の発症に寄与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度内の主目標としていた、本研究モデルにおけるTh2細胞ならびに全身性IgEの役割についておおよそ明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は鼻炎症状の誘導に関わるTh2細胞の具体的な特徴についてを検討する。マウスに移入し鼻局所に集積したTh2細胞をsingle cell RNA-seqにより解析し、鼻炎症状を誘導するために重要と思われるTh2細胞の亜集団ならびに高発現分子を明らかにする。そのような分子をさらにFACSならびに免疫染色を用いて検討する。免疫染色では組織内での当該細胞の存在部位、他の細胞との関係を明らかにする。さらに、(可能であれば)当該分子のノックアウトマウスよりTh2細胞を誘導し、IgEと共にマウスに移入、抗原を曝露することで誘導される鼻炎症状を野生型マウス由来Th2細胞を移入した場合と比較する。
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