研究課題/領域番号 |
23K07916
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
浅野 澄恵 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80816497)
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研究分担者 |
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50346441)
中野 和久 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50406500)
青山 裕美 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90291393)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 全身性強皮症 / 皮膚硬化 / エピジェネティクス / systemic sclerosis / skin fibrosis / epigenetics / TET / DNA methylation |
研究開始時の研究の概要 |
血管障害、組織の線維化、自己免疫異常を特徴とする全身性強皮症(SSc)は、患者の生活 の質を著しく低下させ、治療薬の有効性も極めて限定的である。発症にはエピゲノム異常、 特にDNAメチル化異常が注目されるが、その報告は皮膚線維芽細胞等の特定の遺伝子にとどまり、SScの皮下で想定される高サイトカイン環境及び低酸素環境との関連や、疾患や合併症も含めたフェノタイプとの関連は不明である。 本研究では、SScの皮膚硬化過程における、炎症性サイトカインや低酸素環境がもたらす皮膚構成細胞のエピゲノム修飾と機能変質の分子基盤を明らかにする。さらにはDNAメチル化機構を標的とした新規治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
当院のSSc患者で過去に皮膚生検を施行し、病理部でホルマリン固定パラフィンブロックとして保存してあったサンプルを倫理員会承認の元、薄切し、免疫染色を施行した。SSc発症早期6例(Raynaud現象が出現して1年以内)および発症後4年以上3例、また正常対照群6例(前腕皮膚腫瘍で手術し、セーフティーマージンとして採取された皮膚)について、DNAメチル化に関与するDNMT1、DNMT3a、DNMT3b、TET1、TET2、TET3の発現、DNAメチル化状態(5mC、5hmC)や糖鎖修飾状態(O-GlcNAc、OGT、O-GlcNAcase)を評価したところ、SSc(とくに4年以上)で、正常対照群と比較し、表皮細胞で5mC, DNMT1の発現が上昇し、5hmcの発現が低下していた。このことから、SSc表皮細胞は高メチル化状態にある可能性が示唆された。ヒト成人表皮初代細胞株(NEEK(AD))を低酸素環境下(1%O2)で2時間から72時間で培養したところ, DNMT/TETのいずれのmRNAの発現も低下する傾向を認めた. さらに, 表皮細胞の各分化段階を示すマーカーであるKRT5(基底層), KRT1(有棘層), INV(顆粒層)のいずれもmRNAの発現が低酸素刺激で低下した. このことから, SScの皮下で認める低酸素環境により, エピゲノム異常および表皮細胞の脱分化が生じている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全身性強皮症患者の皮膚サンプルは研究開始後11例回収することができているが, 正常対照群(有棘細胞癌を除く皮膚腫瘍, 前腕, 60歳未満の切除断端陰性が確認済のマージン)を1例も得ることができていない.
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに皮膚凍結切片を免疫染色し、染色された表皮細胞に対してレーザーマイクロダイセクションを行い、メチル化DNA免疫沈降およびヒドロキシメチル化DNA免疫沈降、網羅的mRNA発現解析に提出、統合解析してDNAメチル化に関与する重要な遺伝子X,Y・・を抽出していく。また、単離したSSc表皮細胞に低酸素刺激を加え、遺伝子X,Y・・のDNAメチル化状態を解析し、候補遺伝子を絞り込んでいく。 当初の予定まで実験は進行していないが, 徐々にSSc患者の皮膚生検サンプル(凍結切片および単離表皮細胞)を増やしており. 今後は上記解析へと進めていく。
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