研究課題/領域番号 |
23K07931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
小松 孝行 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20215388)
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研究分担者 |
田中 幸枝 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10197486)
森田 奈央子 愛知医科大学, 医学部, 助教 (20815881)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | モノネガウイルス / メタニューモウイルス / RSウイルス / パラインフルエンザウイルス / アクセサリー蛋白質 / 自然免疫 / インターフェロン / RIG-I / TRIM25 / MAVS |
研究開始時の研究の概要 |
モノネガウイルスに分類されるメタニューモウイルス、RSウイルス、およびパラインフルエンザウイルスは、乳幼児に重症呼吸器感染症を起こしやすいため有効な治療薬の開発が望まれている。申請者らはこれらウイルスの病原性に関わる自然免疫逃避機構の研究を進める過程で、最近、上記3種類のウイルスにRIG-I 経路を介するインターフェロンシステムに対抗する共通の阻害機構が保存されていることを発見した。3種類の異なるウイルスが標的とする共通の宿主因子を明らかにできれば、幅広いモノネガウイルスに対する治療薬の開発に繋がることが期待できる。
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研究実績の概要 |
モノネガウイルスに分類されるメタニューモウイルス(MPV),RSウイルス(RSV),およびパラインフルエンザウイルス1型(PIV-1)は,乳幼児に重症呼吸器感染症を起こしやすい.申請者らは,病原性に関わる自然免疫逃避機構の研究を進める過程で,これらウイルスのアクセサリー蛋白質に抗ウイルス免疫分子RIG-I を介するインターフェロン(IFN)産生シグナルに対抗する共通の阻害機構(抗RIG-I能)が保存されていることを発見した.MPVのM2-2蛋白質,RSVのNS1蛋白質,および PIV-1のV蛋白質はそれぞれ異なるアクセサリー蛋白質であるが,同じようにRIG-Iのポリユビキチン化を抑制し,下流のMAVS分子 へのIFN産生シグナルを遮断する.本研究では,ウイルスの病原性解明および治療薬につながる基礎研究のために,このメカニズムを解析し標的となっている宿主因子を明らかにする.2023年度はアクセサリー蛋白質の ① 標的宿主因子,② RIG-Iのポリユビキチン化の制御メカニズム,を解析した.まず,PIV-1のアクセサリー蛋白質Vについて調べたところ,RIG-IのユビキチンリガーゼであるTRIM25と結合してRIG-Iのポリユビキチン化を抑制していることが明らかになった.このポリユビキチン化はRIG-IとTRIM25の相互作用に依存しているので,RIG-I/TRIM25複合体の形成阻害が予想されたが,複合体形成に影響はなかった.同様のメカニズムがMPVのM2-2蛋白質およびRSVのNS1蛋白質にも認められた.また,PIV-1が属するパラミクソウイルス科の他のウイルスのV蛋白質にも同様のメカニズムが認められた.この成果は幅広いモノネガウイルスの治療薬の開発につながることが期待された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,MPV,RSV,およびPIV-1のアクセサリー蛋白質の抗RIG-I機構解明のために,① 相互作用するRIG-I経路上のグナル伝達分子,② どのようにポリユビキチン化を制御するのか? を解析した.その結果,それぞれTRIM25に結合して,RIG-Iのポリユビキチン化を抑制しIFN産生シグナルを遮断することを明らかにできた.しかし,TRIM25とRIG-Iの相互作用の抑制という単純なメカニズムではなかった.アクセサリー蛋白質のTRIM25の結合領域の解析から,その領域にリクルートされる他のポリユビキチン化制御分子が候補に挙がった.現在,それらの候補分子について解析中である
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今後の研究の推進方策 |
2023年度後半から解析している候補分子は複数あるので,2024年度も引き続き解析を実行する.
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