研究課題/領域番号 |
23K07955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山本 武司 久留米大学, 医学部, 講師 (20632566)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 肺炎マイコプラズマ |
研究開始時の研究の概要 |
肺炎マイコプラズマは感染症の治癒後も完全には排除されず、一部が持続的に感染することが知られている。その意義については不明な点が多いが、肺炎マイコプラズマはその他の病原体、特にウイルスとの共感染症例が非常に多いことから、持続感染に関わる免疫調節作用がウイルスの感染を促進する作用を持つことが予想される。本研究では肺炎マイコプラズマのウイルス感染への影響、特にインターフェロンβ産生への影響に着目し、同サイトカインの産生に関わるシグナル分子群と転写因子群の活性化を解析することで、肺炎マイコプラズマの新たな免疫調節作用の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究計画の実施に先駆けて行った事前実験では肺炎マイコプラズマがLPS誘導性のインターフェロンβの産生を抑制するという実験成績を得ている。そこで肺炎マイコプラズマの抑制作用がTLR4依存的なシグナルに限定して見られるものなのかどうかを調べるため、STINGアゴニストであるABZIを用いて検討を行った。その結果、肺炎マイコプラズマはSTING依存的なインターフェロンβの産生に対しても抑制作用を示した。このことから肺炎マイコプラズマはTLR4とSTINGに共通する下流のシグナル分子群に対して何らかの作用を有することが予想されたため、インターフェロンβの産生に関わるTBK1、ERK、JNK、p38、p65といったシグナル分子の活性化に対する影響の評価を行った。しかしながら、これらのシグナル分子の活性化を肺炎マイコプラズマは抑制しなかった。さらに並行して肺炎マイコプラズマ感染の転写への影響を評価するため、mRNA量の測定を行ったところ、インターフェロンβのmRNA量は肺炎マイコプラズマ感染によって顕著に低下することが分かった。以上の結果から、肺炎マイコプラズマはシグナル分子下流の転写因子の活性化を抑制しているか、あるいはエピジェネティックな変化を引き起こすことで転写レベルを低下させていることが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通り実験を実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度の検討結果から、肺炎マイコプラズマは転写因子の活性化あるいはその働きを抑制する作用を有していると考えられる。R6年度は肺炎マイコプラズマの抑制メカニズムを解明するための足掛かりとなるデータを得るためにRNAseqを行う計画であり、(1)肺炎マイコプラズマ感染に伴う転写因子の量的な変化の解析や(2)転写レベルが低下した遺伝子に共通する転写因子の解析を実施する予定である。現在、RNAの抽出条件の検討を進めており、シークエンスライブラリの調製ができ次第、NGS解析を進めていく考えである。
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