研究課題/領域番号 |
23K07959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 昭伸 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70552420)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グルコキナーゼ / 膵β細胞 / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病の中でも9割以上を占める2型糖尿病の病態の特徴として、インスリンを分泌する膵β細胞の機能および量の低下があげられる。そのため、膵β細胞の機能・量を保持する方法を確立することが病態に即した糖尿病の本質的治療につながる。 本研究では、高血糖環境下における膵β細胞内の過剰なグルコース代謝を適正化することで、膵β細胞におけるoverworkの軽減、すなわち「Beta cell rest」を導くことによる膵β細胞の機能・量の保持、2型糖尿病病態の本質的な改善、そして新たな治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
われわれはレプチン受容体欠損のdb/dbマウスを用いてグルコキナーゼの抑制による膵β細胞機能・量保持効果を示したが、より普遍的なものであることを明らかにするために、高脂肪高スクロース食負荷による食餌誘導性肥満2型糖尿病モデルマウスを用いて検討を行った。 方法としては、グルコキナーゼヘテロ欠損マウス(Gck+/-)雄4週齢および対照として野生型マウス(Gck+/+)雄4週齢をそれぞれ普通食飼育群(NC群)と、高脂肪高スクロース食投与群(HFHS群)に群別し、それぞれ16、40、60週齢まで飼育した。体重・随時血糖、経口ブドウ糖負荷試験による耐糖能およびグルコース応答性インスリン分泌能(GSIS)、膵β細胞量について経時的に比較検討した。 結果として、16週齢では、両マウスともNC群に比しHFHS群で体重増加を認めるものの、耐糖能に差はなかった。40週齢では、Gck+/+HFHS群はGck+/+NC群に比し、膵β細胞量の増大とGSISの明らかな増加を認め、耐糖能が保たれた。一方、Gck+/-HFHS群はGck+/-NC群に比し、膵β細胞量の増大を認めず、GSISの増加も部分的であり、耐糖能は悪化した。さらに60週齢までのより長期の負荷においては、Gck+/+HFHS群はさらなる膵β細胞量の増大とGSISの増加を認め、耐糖能に変化はなかった。それに対し、Gck+/-HFHS群では、膵β細胞量とGSISは部分的に増加し、40週齢以降は耐糖能が保持された。 以上より、高脂肪高スクロース食負荷グルコキナーゼヘテロ欠損マウスは、膵β細胞量増大やGSISの増加が部分的となることから耐糖能の悪化を来した。しかし、2型糖尿病病態における非代償期とは異なり、その後の膵β細胞量やGSISの低下、進行性の耐糖能の悪化は認めなかったことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グルコキナーゼの抑制が膵β細胞機能・量に及ぼす影響に関しては、すでに国内外で学会発表を行っており、現在、論文化をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
グルコキナーゼの抑制が膵β細胞機能・量に及ぼす影響に関しては、論文化を行う。もう一つの課題であるグルコキナーゼ活性抑制化合物の治療応用への基盤整備について、精力的に進めていく。
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