研究課題/領域番号 |
23K07960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
佐々木 崇矩 弘前大学, 医学研究科, 助手 (50858173)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 糖尿病性神経障害 / 機械学習 / セグメンテーション / 末梢神経障害 / 脊髄後根神経節 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病モデルマウスの神経組織を採取し、透明化を施し、ライトシート顕微鏡で観察・撮影する。これにより、組織構築を保ったまま、三次元的に観察することが可能である。 得られた三次元データは膨大であり、人の手による定量は困難である。そこで、画像処理AIを活用して定量する。 それにより、今まで見過ごされていた糖尿病性神経障害の所見を明らかにし、新たな発症・進展の機序を解明する。
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研究実績の概要 |
これまで、ストレプトゾトシン(STZ)投与による1型糖尿病モデルマウスにおける糖尿病性神経傷害(DPN)の検討を行い、糖尿病誘導とDPN発症に際し、細胞体容積の減少が起こることに加えて、DRG神経細胞数減少を報告していた。 この神経細胞数減少がいかなる集団で起こるのかを、透明化に神経細胞亜集団のマーカータンパクであるCGRPとニューロフィラメント(NF)の蛍光二重染色を加えて検討した結果、STZマウスにおける神経細胞減少はCGRP+/NF-low集団および、CGRP-/NF-high集団で起こることを示唆するデータが得られた。 また、これまでの STZマウスの検討に加えて、2型糖尿病モデルマウスdb/db及びその対照マウスdb/mについても追加で検討を行なった。その結果、STZマウスと同様の細胞容積の減少が観察された一方で、STZマウスと異なり有意な細胞数の減少は観察されなかった。また、神経亜集団に分けた検討では、CGRP+/NF-lowの集団においてのみ細胞数の減少がみられた。以上のことから、1型糖尿病と2型糖尿病のDPNの病態やその進行には差異があることが示唆された。 細胞減少のメカニズムを検討するために、in vitroで神経細胞亜集団ごとの応答性の差異とそのメカニズムを詳細に検討するために、細胞分取して培養実験を行う手法を検討した。MACS cell separationにより、マウスDRGニューロン表面マーカーに基づいて分取する手法を確立しており、今後細胞分取と条件分けした培養の評価により、シグナル経路や細胞死の検討を行なう予定である。 また、詳細なpathwayの検討のためシングルセルmRNA解析を予定しており、そのための準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに報告したDRG神経細胞減少の機序を明らかにするために、STZおよび対照マウスDRG組織切片を用いてTUNELアッセイを行なった。しかしながら、明らかなアポトーシスの検出は出来なかった。 STZマウス及び対照マウスに対しCGRP/ニューロフィラメントの二重染色を施し、3次元的に定量した結果、CGRP+/NF-low群、CGRP-/NF-high群で細胞減少が起こることを示唆する結果が得られた。 2型糖尿病モデルマウスdb/dbおよびその対照db/mについて、透明化・ライトシート顕微鏡撮影、容積・数的定量・検討を行なった。結果として、1型糖尿病モデルでは神経細胞減少がみられるのに対し、2型糖尿病モデルでは細胞減少が起こらない、CGRP+/NF-low群でのみ減少が起こることを示し、病態が異なる可能性が示唆された。 in vitroで検討する必要が生まれたため、細胞分取と培養を行なう系を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
1型糖尿病モデルであるSTZマウスと2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスの間でDPNの病態が異なる可能性が示唆されたため、in vitroで神経細胞亜集団ごとの高血糖や高インスリンに対する応答を確認することが必要となった。そのための前提となる手技・手法は確立済みである。今後高血糖や高インスリンなど各条件下での神経軸索伸長やアポトーシスの検討を行なう。 シングルセルmRNA解析を2023年度に予定していたが、実験動物のトラブルにより延期し2024年度7月頃を予定している。 シグナル伝達の因子を特定し、裏付ける検討を追加で行う予定である。
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