研究課題/領域番号 |
23K07962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
堀口 健太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50436408)
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研究分担者 |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シングルセル解析 / 下垂体神経内分泌腫瘍 / 頭蓋咽頭腫 / 神経内分泌腫瘍 / 遺伝子 / 免疫微小環境 / ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、今まで得られた遺伝子変異解析(NGS/TCS解析)情報に加えて、シングルセル解析を元に解析を行うことで、下垂体神経内分泌腫瘍における複雑かつ多様な病態をより個別化して捉え、手術困難や治療効果を予測できるような基盤的研究を推進する。その結果、機能性下垂体腫瘍の薬剤 治療反応性や手術リスク・寛解予測を目指した革新的個別化医療への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度は下垂体部腫瘍の中でもCTNNB1 変異に伴う Wnt signal 活性などの病態解明がなされており,更に臨床病理学的特徴がある程度判明している頭蓋咽頭腫の検体を用いたシングルセル解析を中心に研究を行った. シングルセル解析の結果,まず,クラスター細胞種同定と構成細胞特性に関して検討を行った.頭蓋咽頭腫の組織を構成する細胞の割合では免疫細胞や繊維芽細胞・血管内皮細胞などの間質細胞が大半を占めており,腫瘍細胞は全体の 5%程度と少数であった.本検討により,組織中に占める腫瘍細胞の割合は決して多くなく single cell での heterogeneity/細胞間相互作用の解析の必要性が再確認された. 次に,tumor cell subclusteringを検討したところ, 2つの major cluster( type 1 ,type2)に大別された. 各 type の発現変動遺伝子( DEG )を求めて,ontology 解析を行ったところ,type 1 の腫瘍細胞では免疫関連 の term がエンリッチしており,type 2 の腫瘍細胞では上皮形成や細胞外マトリクス,ケラチン化に関わる term がエンリッチしていることが判明した. 更に,前述の 2 つ tumor cell subtype の間で細胞間相互作用の比較を行った.type 1( immune rich type )では B 細 胞やマクロファージ,T 細胞などの免疫細胞が関与しているシグナルが多く,type 2( proliferative epithelial type )では繊維芽細胞が関与しているシグナルを多く認めた.現在,PitNETも含めて,下垂体部腫瘍のシングルセル解析か引き続き解析を行っており,全体としては概ね予定通りに進展している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Pit NET及び頭蓋咽頭腫などの下垂体部腫瘍の組織的多様性と外科手術に影響する多彩な腫瘍特性を明確にするために行なった今までのシングル解析は予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
下垂体神経内分泌腫瘍の多様性分子機構を解明すること目的として,様々な下垂体部腫瘍に対して行ったシングルセル解析を行い,腫瘍細胞の新規クラスター分類や多種多様な構成細胞の相互作用を明らかにする.また,今までに我々が行ったMulti- Omics(RNAseq + Proteomics)とconsensus clusteringの手法を用いた臨床情報と統合した分子生物学的な情報も併せて解析し,下垂体の分化に関連する転写因子群や固有のシグナル経路の存在の解明も引き続き目指していく. 今後もシングルセル解析の技術を用いて腫瘍組織を構成する細胞割合と組織間の相違・比較解析,腫瘍細胞そのものに着目した分子病態・腫瘍特性解析及び腫瘍を取り巻く微小環境・細胞間相互作用解析を行う予定である.
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