研究課題/領域番号 |
23K07966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
西 清人 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30749362)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 臓器連関 / 褐色脂肪組織 / 肝細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ナルディライジン(NRDC)は、種々の生命現象を制御するプロテアーゼである。申請者は、肝細胞特異的NRDC欠損マウスにおいて、褐色脂肪組織(BAT)熱産生が亢進し、耐糖能異常が軽減することを明らかにしたが、その詳細な分子機構は不明である。 本研究は、肝細胞NRDCがどのようにBAT熱産生や耐糖能を制御するかの解明、肝細胞NRDC発現調整機構の解明を目指す。また、肝細胞NRDCを標的とした肥満・糖尿病治療の可能性についても検討する。
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研究実績の概要 |
申請者は、NRDC欠損マウスがインスリン分泌不全、エネルギー消費亢進、インスリン感受性亢進などを示したことから、エネルギー代謝におけるNRDCの役割を研究し、膵β細胞のNRDCによるインスリン分泌の制御などを明らかにしてきた。一方、エネルギー代謝に重要な役割を果たしている肝臓において、NRDCの役割は不明であった。そのため、申請者は種々の解析を行い、(A) NRDCの発現が、絶食時に亢進、再摂食時や高脂肪高ショ糖食(HFHSD)給餌時に減弱すること、(B) 肝細胞特異的NRDC欠損マウス(LKO)では、BAT熱産生の活性化によりエネルギー消費が亢進し、高脂肪食給餌による体重増加や耐糖能障害が軽減することを明らかにした。 本年度は、以下のような結果を得た。 (1) 肝細胞のNRDC発現を制御する栄養シグナルの解明: LKOと対照マウスから初代培養肝細胞を取得し、培養液中にインスリンなどを添加することで、NRDCの発現が変化するかを解析した。これまでの解析から、インスリンなどの刺激はNRDC発現を大きく変化させないとの結果を得ている。 (2) 肝細胞NRDCによるBAT熱産生・耐糖能制御機構の解明: LKOと対照マウスの肝臓におけるmRNA発現量を網羅的に測定し、分泌タンパクに着目して発現量を比較した。すると、FGF21をはじめとしたいくつかの分泌タンパクの発現量が変動していることがわかった。そして、種々の解析から、LKOの表現系の少なくとも一部にはFGF21が関与している可能性が高いとの結果を得ている。 (3) 肝細胞NRDCを標的とした新規糖尿病治療法の確立: 特殊脂質ナノ粒子による肝臓特異的NRDCノックダウンをおこなったマウスがLKOと同じ表現系を示すかを解析した。それと並行して、NRDCを阻害する化合物のスクリーニングを進めており、阻害活性の高い化合物をいくつか同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1) 肝細胞のNRDC発現を制御する栄養シグナルの解明、(2) 肝細胞NRDCによるBAT熱産生・耐糖能制御機構の解明、(3) 肝細胞NRDCを標的とした新規糖尿病治療法の確立、の3つを目的としているが、それぞれについて【研究実績の概要】に示したような研究成果が得られているため、おおむね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 肝細胞のNRDC発現を制御する栄養シグナルの解明: 未検討の栄養素、栄養シグナルについて検討を進める。 (2) 肝細胞NRDCによるBAT熱産生・耐糖能制御機構の解明: FGF21以外の分泌タンパクで、LKOの表現型に関与するものがないかの解析を進める。また、NRDCによるFGF21発現制御機構の詳細を明らかにする。 (3) 肝細胞NRDCを標的とした新規糖尿病治療法の確立: スクリーニングによって絞り込んだ化合物について、培養細胞などでの検討を進める。
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