研究課題/領域番号 |
23K07989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 法一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (30506308)
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研究分担者 |
西澤 均 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20379259)
藤島 裕也 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10779789)
福田 士郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00896467)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アディポネクチン / T-カドヘリン / エクソソーム / T-カドヘリン |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪細胞から特異的に分泌されるアディポネクチン(APN)は、膜タンパク質T-カドヘリン(T-cad)と結合することで、エクソソーム(Exo)の分泌を増加させることを近年明らかにし、この“APN/T-cad/Exoシステム”が多彩な保護作用を有するAPNの根幹的共通基盤となっている可能性を示した。またT-cadが細胞表面のみならず、可溶型T-cadとして血中に存在することも明らかにし、その生理的・病態的意義の解析を進めている。 本研究では、従来のホルモン・受容体の概念を超越した“APN/T-cad/Exoシステム”という新たな内分泌因子学を提唱し、治療医学の礎を築くことを主眼とする。
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研究実績の概要 |
A. APN/T-cad/Exoシステムの解明とT-cadの発現調節機構 各種CreマウスとT-cad floxマウスを交配し、各組織特異的なT-cad欠損マウスを構築した。血中APN濃度は、血管内皮細胞特異的(VE-cadherin-CreERT2)欠損マウスでは約3倍、体性幹細胞/pericyte特異的(PDGFRα-CreERT2)欠損マウスでは約1.5倍と有意な上昇を認めた一方で、骨格筋細胞(MCK-Cre)や心筋細胞(αMHC-Cre)特異的欠損マウスでは変化はみられなかった。また、低酸素により誘導されるHIFシグナルがT-cad発現を正に制御することを見出し、HIF-PH阻害薬の添加により培養血管内皮細胞のT-cad蛋白とAPN集積が有意に増加し、APNによるExo産生がさらに促進される結果を得た。また、RNA-seqによる網羅的な遺伝子解析により、HIF-PH阻害薬は直接的なT-cad転写制御だけでなく、ADAM12経路による膜近傍切断の抑制を介したT-cad蛋白安定性に寄与することを明らかとした。さらに、マウスに対するHIF-PH阻害薬の投与は、T-cad依存的に血中Exo粒子数を上昇させた。
B. 可溶型T-cadの生理的・病態的意義と機能解析 可溶型T-cad投与マウスでNotch経路の活性化を介して膵β細胞の増殖作用を発揮することを明らかとした[Okita, Kita, Fukuda et al. iScience 2022]。さらに、可溶型T-cadは薬剤的なインスリン枯渇もしくは作用不全の状態においてヒト、マウスで共に増加し、内皮細胞が主要な産生細胞であること、Aktシグナルの低下によって産生増強されることを見出しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題もなく、遺伝子改変マウスも樹立されており、細胞実験も当初の計画通り順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
A. APN/T-cad/Exoシステムの解明とT-cadの発現調節機構 今回樹立した各組織特異的Tcad欠損マウスの血中Exo粒子数を定量し、APNを介した全身のExo産生における各心・血管・筋構成細胞のT-cadの寄与を明らかとする。また、これらマウスにStreptozotocin負荷による糖尿病モデル、高食塩負荷による高血圧モデル、大動脈弓縮窄術(TAC)による圧負荷心不全モデル等を作製し、糖尿病性細小血管障害(網膜症、腎症)や動脈硬化症、心不全の進展・重症度について対象マウスと比較し、APNの心血管保護作用における各組織/細胞のT-cadの重要性を明らかにする。また、APNおよびHIF-PH阻害薬依存的に上昇するExoについて、その質の変化の評価を行うために、網羅的なmiRNA解析をin vitroとin vivoで検証する。
B. 可溶性T-cadの生理的・病態的意義と機能解析 探索的検討において、大動脈縮窄による圧負荷心不全モデルマウスに可溶型T-カドヘリンを強制発現すると心肥大が抑制されるという結果が得られており、今後可溶型T-カドヘリンが膵β細胞や心臓に効果を及ぼすメカニズムについて検討する。
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