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精巣-副腎-骨格筋軸による骨格筋の性差構築機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K07991
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分54040:代謝および内分泌学関連
研究機関九州大学

研究代表者

馬場 崇  九州大学, 医学研究院, 准教授 (40435524)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード副腎 / グルココルチコイド / 性差 / 男性ホルモン / Ad4BP / SF-1 / Nr5a1 / 骨格筋
研究開始時の研究の概要

近年、様々な生命現象に性の影響が見出され、性の成立機構の理解が重要な研究課題と位置付けられている。従来、精巣と卵巣から放出される性ホルモンが全身の器官に直接作用することで個体の性が確立すると理解されてきたが、その作用機序には不明な点が残る。最近の申請者の研究成果は、性ホルモンは副腎におけるグルココルチコイドの産生制御を通じて、骨格筋の形態・性質に性差をもたらすことを示唆した。本研究では、男性ホルモンが副腎における転写因子Ad4BPの発現抑制を通じてグルココルチコイドの産生および血中への放出を抑制すること、そしてその結果骨格筋のオス化を誘導すること示す。

研究実績の概要

研究項目①では、Ad4BP-BAC-EGFPマウスの副腎皮質束状層細胞(zF)を用いたCUT&RUN-seqにより男性ホルモン受容体(AR)の標的ゲノム領域を探索したが、望ましい結果は得られなかった。原因として、抗体反応中にARが核外に移行した可能性が考えられる。代替法として、ChIP-seqによるARの標的ゲノム領域の同定を行い、現在データ解析中である。また、Ad4BP遺伝子の発現を制御するエンハンサー候補領域を特定した。ARがこれらの領域に結合するか否かを調べた後、ゲノム編集による機能検証を行う。
研究項目②では、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出するため、Cyp11b1遺伝子の発現制御下にCreリコンビナーゼを発現するマウス(Cyp11b1-Creマウス)を作成中であるが、十分なCreリコンビナーゼを発現するマウスの作出は未完了である。引き続き、適切なマウスラインの作出を目指す。
今後の研究推進方策として、取得済みの副腎zFトランスクリプトームデータとARのChIP-seqデータを統合し、男性ホルモンによるAd4BP遺伝子の発現抑制メカニズムを解明する。男性ホルモン存在条件で発現が活性化する遺伝子を同定し、候補因子のAd4BP遺伝子の発現抑制への関与を培養細胞で検証後、適切な場合はKOマウスを作出する。また、Cyp11b1-Creマウスの作出を継続し、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出することで、副腎皮質からのグルココルチコイドの放出の減少が骨格筋に及ぼす影響を明らかにする。これらのマウスを使用して骨格筋の形態やエネルギー代謝の性差を詳細に解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究項目① 男性ホルモンによる副腎zFにおけるAd4BPの発現抑制を介したグルココルチコイドの産生抑制機構:Ad4BP-BAC-EGFPマウスから高純度で単離した副腎皮質束状層細胞を用いたCUT&RUN-seqを行い、男性ホルモン受容体(AR)の標的ゲノム領域の探索を行った。しかし、良好な結果を得ることができなかった。一般的なCUT&RUNプロトコールではクロマチンの固定を行わずに一晩の抗体反応を行う。抗体反応中はARのリガンドである男性ホルモンが存在しない状態に置かれるため、おそらくARが核外に移行してしまったのではないかと考えている。以上の結果を受け、クロマチンの固定を行うChIP-seqによりARの標的ゲノム領域の同定を進めている。現在ChIP-seqのデータが得られ、その解析を行っているところである。生後の副腎zFにおけるAd4BP遺伝子の発現を制御するエンハンサー(zFE)に関しては、候補領域を三箇所(遺伝子上流領域、第4イントロン内、および第6イントロン内)同定した。上記のChIP-seqデータを用い、ARがこれらの領域に結合するか否かを調べる。また、zFE候補領域をゲノム編集で欠損させることにより、これらの領域が真にエンハンサーとして機能するか否かを検討する。
研究項目② Ad4BPの発現低下に伴うグルココルチコイドの減少が誘導する骨格筋のオス化:副腎zF特異的なAd4BP KOマウスの作出に向け、本細胞に特異的な発現を示すCyp11b1遺伝子の発現制御下にCreリコンビナーゼを発現するマウス(Cyp11b1-Creマウス)の作出を行った。しかし、現在までに以降の実験に使うために十分なCreリコンビナーゼを発現するマウスは得られていない。引き続き作出を行う。

今後の研究の推進方策

研究項目① 男性ホルモンによる副腎zFにおけるAd4BPの発現抑制を介したグルココルチコイドの産生抑制機構:コントロールオス、コントロールメス、性腺除去オス、および性腺除去後に男性ホルモンを投与したメスから調製した副腎zFにおけるトランスクリプトームデータをすでに取得している。これらのトランスクリプトームデータとARのChIP-seqデータを統合する。男性ホルモン存在下(コントロールオスおよび男性ホルモン投与メス)で非存在下(コントロールメス、および性腺除去オス)と比較して発現が高く、かつ遺伝子近傍にARが結合する遺伝子を、ARによるAd4BP遺伝子の発現抑制を仲介する因子候補とする。その後、まず培養細胞を用い、ARが仲介因子候補遺伝子の転写を活性化すること、および仲介因子がAd4BP遺伝子の発現を抑制するか検討する。想定通りの挙動を示した候補因子に関しては、KOマウスの作出を検討する。
研究項目② Ad4BPの発現低下に伴うグルココルチコイドの減少が誘導する骨格筋のオス化:引き続きzF特異的にCreリコンビナーゼを発現するCyp11b1-Creマウスの作出を行う。十分なクオリティを有するマウスの作出が完了次第、Ad4BP-floxマウスと交配し、副腎zF特異的なAd4BP KOマウスを作出し、骨格筋の形態およびエネルギー代謝の性差について検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] KIST(韓国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Development of sexual dimorphism of skeletal muscles through the adrenal cortex, caused by androgen-induced global gene suppression2024

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Fumiya、Baba Takashi、Christianto Antonius、Yanai Shogo、Lee-Okada Hyeon-Cheol、Ishiwata Keisuke、Nakabayashi Kazuhiko、Hata Kenichiro、Ishii Tomohiro、Hasegawa Tomonobu、Yokomizo Takehiko、Choi Man Ho、Morohashi Ken-ichirou
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 43 号: 2 ページ: 113715-113715

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2024.113715

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Deciphering Cellular Sex difference: Insights from Skeletal Muscle and the Adrenal Glands2023

    • 著者名/発表者名
      Takashi Baba
    • 学会等名
      5th International Seminar on Smart Molecules of Natural Resources
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Absolute quantification of fructose-2,6-bisphosphate, a regulator of glycolysis2023

    • 著者名/発表者名
      Takashi Baba, Yoshihiro Izumi, Keisuke Tomohara, Masatomo Takahashi, Fumiya Takahashi, Antonius Christianto, Hiroki Yamazaki, Takeru Nose, Takeshi Bamba & Ken-ichirou Morohashi
    • 学会等名
      9th International Conference of Brain and Gonadal Biology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of sexual dimorphism through the adrenal cortex, caused by androgen-induced global gene suppression2023

    • 著者名/発表者名
      Fumiya Takahashi, Takashi Baba, Ken-ichirou Morohashi
    • 学会等名
      9th International Conference of Brain and Gonadal Biology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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