研究課題
基盤研究(C)
脂肪酸結合タンパク(FABP)ファミリーのうち、FABP4は脂肪細胞とマクロファージに発現し、メタボリックシンドロームの成因に深く関わる。我々はFABP4がシグナルペプチドを持たないものの脂肪分解と共に非古典的経路を介して脂肪細胞から分泌され、アディポカインとして多臓器に作用することを報告した。一方、他のFABPも血中に存在し、豊富に発現する組織の傷害逸脱マーカーとして臨床応用されているが、各々の血中FABPの生理的意義、分泌の有無やその機構も不明である。本研究の目的は、FABPファミリーを起点とする多臓器連関について、生理的意義、分泌機構、受容体検索を含め包括的に解明して各種疾患の新規診断・治療法に応用することである。
1. 各種細胞へのFABP4を外因性に投与した条件でRNA-seqを施行し解析を行なった。蛋白~蛋白相互作用カスケード解析から様々な転写因子および各種キナーゼ等との相互作用が認められた。2. 各種細胞にリコンビナントFABP4を外因性に投与してメタボローム解析を行った。様々な細胞内メタボライトの変化が認められ、FABP4が脂肪細胞由来の生理活性物質であるアディポカインとして働くことが再確認された。3. 各種細胞へ様々な脂肪酸(パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、αリノレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)単独およびFABP4と共に投与し、炎症反応関連を一各種遺伝子発現の解析を行った。4. 疫学調査(端野・壮瞥町研究および円山クリニック健診コホート研究)でFABP4を含む各種FABPファミリーの濃度を測定し、フォロー期間中の各種予後(高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、虚血性心疾患、脂肪性肝疾患、心血管死、全死亡など)について検討した。5. ヒトの心臓血管外科手術時に採取した心外膜脂肪組織や血管周囲脂肪組織の検討からFABP4の発現や各種免疫学的検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画を順調にこなしている。
現在進行中の検討を継続していく。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)
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