研究課題/領域番号 |
23K07995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
西村 渉 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00334433)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 糖尿病 / 慢性炎症 / 細胞外マトリックス / 転写因子 / シグナル伝達 / 膵β細胞 / 発現制御 / 成熟分化 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、糖尿病の直接の原因である膵β細胞障害に対する、慢性炎症の関与が注目されている。我々はこれまでに、成熟膵β細胞では抑制されている細胞外基質(ECM)関連分子の発現が、糖尿病状態では増強することを見出し、それら分子の発現調節メカニズムを解明した。そこで本研究では、糖尿病の膵β細胞において過剰発現するECM関連分子が、膵β細胞の機能・分化・増殖に与える影響と、その分子メカニズムについて明らかにすることにより、糖尿病の病態解明と新規治療開発の基盤を形成する。
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研究実績の概要 |
世界の糖尿病罹患者は2021年時点で5億3700万人と推定され、今後も増え続けると推測されている。膵β細胞はインスリンの分泌により、糖代謝を制御している。糖尿病の多くを占める2型糖尿病では、末梢のインスリン抵抗性が増大し、膵β細胞の機能ならびに量が低下して、インスリン分泌が障害され、糖代謝異常が発生する。近年、慢性炎症が、2型糖尿病における膵β細胞障害メカニズムに関与することが明らかになってきている。しかしながら、糖尿病状態での膵β細胞に対する遊離脂肪酸、慢性の高グルコース刺激やhIAPPの作用が、サイトカインやケモカイン、インフラマソームを介して、マクロファージを含む膵島周囲の微小環境と膵島の相互作用に与える影響の分子メカニズムは、十分に明らかではない。 我々はこれまでに、様々な環境下のマウス膵島、あるいは膵β細胞の網羅的遺伝子発現解析等の結果、マウス成熟膵β細胞で発現抑制され、糖尿病モデルマウス膵島で発現増強して、膵β細胞障害を誘導する可能性のある遺伝子群の主なものとして、細胞外マトリックス(ECM)関連分子や炎症性サイトカイン、ケモカイン、SASP因子を同定した。そこで本研究では、糖尿病の膵β細胞において過剰発現するECM関連分子が、膵β細胞とECMや免疫細胞を含む膵島周囲の微小環境との相互作用の変容を介して、膵β細胞の機能・分化・増殖に与える影響の分子メカニズムについて明らかにする。 本年度はまず、ECMが糖尿病の膵β細胞に直接与える影響について解析した。すなわちマウス分離膵島に対するECM関連分子の機能解析や、ECM関連分子の発現を制御する転写因子の機能解析などを行った。またマウス分離膵島の培養系を用いて、ECMがマクロファージを介して糖尿病の膵β細胞に与える影響について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で予定されていた実験の一部で施行が遅れ、また研究代表者に研究機関の異動があったが、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の結果、分離膵島の培養系を用いて、ECM関連分子が膵β細胞の機能に与える影響が明らかになりつつある。今後は当初の計画通りに、個体において、ECM関連分子が膵β細胞機能に与える影響を解明する。すなわち、膵β細胞と膵島周囲の微小環境との相互作用の鍵となる遺伝子について、コンディショナルな膵β細胞特異的遺伝子改変マウスを作製して、代謝パラメーターや組織学的解析を施行することにより、ECM関連分子が糖代謝に与える影響を解析する。また、膵β細胞と膵島周囲の微小環境との相互作用の網羅的解析を施行し、膵島の慢性炎症に関与する細胞成分を明らかにする。
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