研究課題/領域番号 |
23K08004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
竹下 有美枝 金沢大学, 医学系, 准教授 (40507042)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 非アルコ-ル性脂肪性肝疾患 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
NAFLD(非アルコ-ル性脂肪性肝疾患)を伴う糖尿病患者の病態や臨床経過は十分に明らかにされておらず適切な薬物療法も確立されていない。本研究ではNAFLDを伴う糖尿病患者に絞り、薬物療法前後の161名の連続肝生検組織による肝臓病理と発現遺伝子、および人工膵臓を用いた臓器特異的なインスリン感受性などの代謝マーカ-との関連を解析する。NAFLDを伴う糖尿病に対する適切な薬物療法を提案するとともに、薬物療法が及ぼすNAFLD病理と細胞内分子への作用点を明らかにし、NAFLDの進展阻止にむけた基盤となる研究を行う。
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研究実績の概要 |
NAFLDは糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満症などを合併するだけでなく、NASHを経て肝硬変、肝がんに至る。糖尿病患者にNAFLD・NASHが高率であること、糖尿病合併NAFLDの肝がん発生リスクは2.16倍に及ぶこを報告した。このため、NAFLDを伴う糖尿病患者の治療では、糖尿病の治療に加えて肝臓そのものに対する適切な治療法が模索されている。肝臓は糖代謝の中心をなす臓器であるが、糖尿病治療薬によってNAFLDの肝臓病理が変化する場合、その糖代謝に及ぼす影響は不明である。しかしながら、両者の関連を解析するためには、糖尿病治療前後における肝組織と人工膵臓を用いた解析が必要であるため、これまでは多数の症例を用いた系統的な解析が行われてこなかった。 2型糖尿病を有するNAFLD患者に対して連続肝生検を行い、肝臓の線維化に寄与する因子はHbA1c低下およびインスリン治療であることを明らかにした。NAFLD伴う2型糖尿病患者40例を対象にSGLT-2阻害薬とスルホニル尿素(SU)薬が肝臓病理所見に及ぼす影響について、連続肝生検を行うRCT研究を報告した。SGLT-2阻害薬とSU薬は、ともにHbA1cを同等に有意に低下させたが、SGLT2阻害薬群でのみ、肝酵素・体重・肝臓病理スコアが有意に低下した。さらに、48週間のSGLT-2阻害薬介入による肝線維化の改善率は60%であり、既報に比し高い改善率を示した。この結果は、糖尿病治療薬が、糖尿病を改善するだけでなく、線維化を含めたNAFLDの組織像を改善させることを示したものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NAFLDを伴う糖尿病患者の連続肝生検組織を用いて、NAFLDの病理所見と肝臓の発現遺伝子の変化、および臓器特異的インスリン感受性を含む糖尿病の病態とを経時的に解析することによって、学術的な問いであるNAFLDを伴う糖尿病患者の病態と臨床経過を明らかにするとともに、糖尿病とNAFLDを改善する適切な薬物療法について研究遂行していく。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病治療薬がNAFLDの病理を改善する作用点について、病理と発現遺伝子の解析を行い、糖尿病を背景とするNAFLDの進展阻止に資する基盤研究を行う。
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