研究課題/領域番号 |
23K08029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
茂地 智子 (高居智子) 九州大学, 大学病院, 助教 (10818090)
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研究分担者 |
飯森 真人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (20546460)
伊地知 秀樹 九州大学, 医学研究院, 助教 (20585707)
徳永 えり子 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 乳腺科部長 (50325453)
増田 隆明 九州大学, 大学病院, 准教授 (50463493)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乳癌 / BRCA1/2遺伝子 / PARP阻害剤 / DNA損傷チェックポイント機構 / ATR阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、遺伝子ノックアウトライブラリーを用いてBRCA1変異陽性トリプルネガティブ乳がんのPARP阻害剤耐性獲得に関与する遺伝子群を網羅的に探索し、PARP阻害剤耐性獲得の分子機序を解明する。また、BRCA1変異陽性トリプルネガティブ乳がんのPARP阻害剤耐性モデル細胞株を作製し、DNA損傷チェックポイント機構センサータンパクであるATR(ataxia telangiectasia and Rad3 related)の活性阻害が耐性克服に寄与する可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的に到達すべく、トリプルネガティブ乳がん細胞におけるPARP阻害剤への耐性機序の解明(課題1)とPARP阻害剤耐性克服法への再感受性化の解明(課題2)の2つの方向性からのアプローチを開始している。 課題1では、約19,000種類のヒト遺伝子をカバーするCRISPR/Cas9ノックアウトライブラリーの入手およびライブラリーを保持したレンチウイルスの作製は完了し、今後、このレンチウイルスをBRCA1遺伝子変異陽性トリプルネガティブ乳がん細胞株(MDA-MB-486)に感染させ、PARP阻害剤(AZD2281)への耐性を獲得した細胞を次世代シークエンスにより解析し、PARP阻害剤耐性獲得に必須な候補遺伝子の同定を目指す。課題2では、MDA-MB-436 の細胞周期可視化Fucci細胞を樹立し、ライブセルイメージングによる解析にてPARP阻害剤投与下でM期の延長およびMitotic catastropheを認めた。更にM期での分裂異常を詳細に観察するため、 MDA-MB-436のhistone H2B-GFP細胞も樹立しており、現在、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、課題1では遺伝子を約19,000種類ノックアウトできる遺伝子ライブラリーの入手とライブラリーを保持したレンチウイルスの作製は完了しており、BRCA1遺伝子変異陽性トリプルネガティブ乳がん細胞株(MDA-MB-486)のPuromycin適正濃度試験、コロニー形成能検証、 PARP阻害剤に対する感受性試験、レンチウイルス感染効率検証を含む予備実験まで終了している。課題2では、MDA-MB-436 の細胞周期可視化Fucci細胞を樹立し、ライブセルイメージングによる解析にてPARP阻害剤投与下でM期の延長およびMitotic catastropheを認めた。更にM期での分裂異常を詳細に観察するためhistone H2B-GFPを発現させたMDA-MB-436も樹立した。また、PARP阻害剤耐性モデル細胞株として、MDA-MB-436の53BP1ノックアウト細胞株を樹立した。さらにMDA-MB-436でのEMI1ノックアウト細胞株の樹立も試みたが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、課題1において、約19,000種類のヒト遺伝子をカバーするGeCKO遺伝子ノックアウトライブラリーを保持させたレンチウイルスをBRCA1遺伝子変異陽性トリプルネガティブ乳がん細胞株(MDA-MB-486)に感染させ、1細胞につき1遺伝子がノックアウトされた細胞集団を作成する。その感染細胞をPARP阻害剤(AZD2281)存在下で長期培養後、耐性を獲得して生存した細胞集団を回収して次世代シークエンス解析することによりノックアウトされたPARP阻害剤耐性獲得に必須な候補遺伝子を同定する。またこれらの同定された因子群の情報からエンリッチメント解析をすることで、どのような細胞内イベントが耐性に関与するかを明らかにする。課題2については、histone H2B-GFPを発現させたMDA-MB-436を用いて、PARP阻害剤投与下のM期での分裂異常についてもライブイメージングによる解析を進める。また、EMI1ノックアウト細胞株については樹立が困難であったため、siRNAを介したEMI1ノックダウン細胞を作製する予定としている。PARP阻害剤耐性株として、MDA-MB-436の53BP1ノックアウト細胞とEMI1ノックダウン細胞において、 PARP阻害剤とATR阻害剤の併用投与における細胞周期の進行状況について解析を進め、ATR阻害剤のもたらすPARP阻害剤への再感受性を評価し、その再感受性化メカニズムを明らかにする。
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