| 研究課題/領域番号 |
23K08043
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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| 研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
山道 拓 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 免疫部門, 客員研究員 (30715165)
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| 研究分担者 |
臼井 規朗 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 副院長 (30273626)
正畠 和典 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40588381)
梅田 聡 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 小児外科, 副部長 (60715176)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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| キーワード | SSI / 新生児 / 手術 / 手術部位感染 / NCD |
| 研究開始時の研究の概要 |
わが国の新生児死亡率は世界で最も低率であるが、小児外科領域における新生児手術例は乳児期以降に比べて死亡率が高い。手術部位感染(SSI)は時として予後に影響を与えるが、SSI発生のリスク因子の解明や予後に与える影響の解析は十分に行われておらず、予防対策に関する一定の見解もない。これは新生児手術例に関する大規模コホート臨床研究がこれまで行われてないことに主な原因がある。本研究ではわが国有数の大規模コホートであるNational Clinical Databaseに登録された10000例以上の新生児手術例を解析することにより、SSI発生のリスク因子及びSSI発生が予後に与える影響を明らかにしたい。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、新生児期に施行される外科手術における手術部位感染(surgical site infection:SSI)の発生頻度およびそのリスク因子を明らかにすることを目的とし、全国の小児外科症例を網羅的に収載するNational Clinical Database for Pediatric Surgery(NCD-P)を用いた大規模後ろ向き観察研究として実施している。SSIは新生児における重篤な術後合併症のひとつであり、その発症は感染のコントロール困難化や入院期間の延長、ひいては予後不良に直結することが知られている一方で、国内における新生児SSIの網羅的データはこれまで存在せず、本研究はその空白を埋める意義がある。対象は2015年から2023年にNCD-Pに登録された新生児手術症例のうち、生後30日以内に皮膚切開を伴う術式を受けたものとし、27,000例以上の症例を解析対象として抽出した。出生体重、在胎週数、ASA-PS分類、術野汚染度、術前感染状態、周術期の赤血球輸血、染色体異常、術前ステロイド使用、内視鏡手術の有無など、臨床的意義の高い変数を多面的に設定し、データを統合・整備した。欠測値については、まず空白を「なし」と見なしてよい変数と欠測扱いとすべき変数を分類し、complete-case解析による単変量ロジスティック回帰を実施した。現時点で、低出生体重、周術期輸血、汚染手術、敗血症性病態など複数の因子がSSIと有意に関連することが示唆されており、今後は多変量解析により独立リスク因子を同定する予定である。また、出生体重×輸血、呼吸器手術×ステロイドなどの交互作用の検討や、臓器別・術式別の層別解析も並行して進める。さらに、予測スコア化によるリスク評価モデルの構築を視野に入れており、最終的にはSSIの予防戦略や術前介入の最適化に資するエビデンスの創出を目指す。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
本研究は、全国小児外科症例データベース(NCD-P)を用いた大規模な後ろ向き観察研究であり、対象症例数が非常に多く、多変数を含む複雑な解析が必要とされる。そのため、研究開始当初より、臨床チームと統計解析担当者との緊密な連携が不可欠であった。研究は、対象データの抽出と変数の定義・整備を終え、現在は単変量解析から多変量ロジスティック回帰への移行と、感度分析(multiple imputation等)の実施を控えた段階にある。当初の計画に比べると進捗には一定の遅れが生じているが、これは主に、統計解析作業が高い専門性を要するうえ、解析担当者が他のプロジェクトを多数抱えている関係で、解析依頼から結果が得られるまでに一定の期間を要するためである。研究そのものは着実に前進しており、統計チームとの協議を重ねながら、分析の質を担保しつつ慎重に作業を進めている。今後は多変量解析および予測モデルの構築に注力し、研究成果の取りまとめと公表を目指す予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、すでに整理された新生児手術症例のコホートとリスク因子データをもとに、多変量ロジスティック回帰分析を実施し、手術部位感染(SSI)の独立リスク因子を明らかにすることを最優先課題とする。加えて、complete-case解析の結果に対する感度分析として、multiple imputation法による欠測補完を行い、解析結果の安定性と信頼性を担保する。さらに、臓器別分類や出生体重などの層別解析を通じて、特定の高リスク群に対する詳細な評価も試みる予定である。解析結果が整い次第、視覚的に分かりやすい図表を作成し、国内外の学会発表および英文論文化を進める。特に、予測モデルとして活用可能なリスクスコアの開発が可能となれば、臨床現場における感染対策やリスク評価にも資する実用的な成果となり得る。今後も統計解析チームとの連携を密にしつつ、質の高いエビデンスを創出することを目指して研究を着実に推進していく。
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