研究課題/領域番号 |
23K08058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
新倉 直樹 東海大学, 医学部, 教授 (60459469)
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研究分担者 |
花村 徹 東海大学, 医学部, 准教授 (00532053)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 乳癌 / ZAG / Androgen Receptor / 腫瘍免疫 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
昨今腫瘍免疫を応用した癌治療が臨床応用され、腫瘍免疫学は大変注目されている。アンドロゲン受容体(AR)は乳癌を含む幾つかの癌で免疫を制御する可能性が知られているがそのメカニズムは不明である。我々はこれまでの解析でそのメディエイターとしてAR依存性分泌蛋白であるAlpha-2-glycoprotein 1, zinc-binding (ZAG)に着目し、これが乳癌微小環境において特定の免疫学的状態と相関することを発見し新規の免疫制御因子として注目している。本研究はZAGが免疫応答を制御する具体的な分子メカニズムを明らかにしZAGの免疫学的意義を確立し、治療標的として応用することを目指す。
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研究実績の概要 |
Immune Checkpoint Inhibitor (ICI)の登場により腫瘍免疫学は革新的治療開発につながる分野として大変注目を浴びている。アンドロゲン受容体(AR)は乳癌を含む幾つかの癌で免疫抑制的機能を持つことが知られているがその具体的メカニズムはわかっていない[Hanamura T.,et al., Breast Can Res. 2023]。我々はこれまでに独自の解析からその中間メディエイターとしてAR依存性分泌蛋白であるAlpha-2-glycoprotein 1, zinc-binding (ZAG)に着目し、これが乳癌微小環境において免疫抑制的なフェノタイプと相関する事やマクロファージにおける各種分化マーカーおよびHLA の発現を低下させることを見出し、新規の免疫チェックポイント分子として注目している[Hanamura T, et al., Cancer immunology immunotherapy, 2024]。本研究はZAGが免疫応答を制御する具体的な分子メカニズムを明らかにすることでZAGの免疫チェックポイント分子としての意義を確立し、治療標的として応用することを目指している。具体的には①ZAGと相互作用する免疫関連分子の同定、②ZAGによる抑制系シグナル制御の検証、③乳癌細胞株と免疫細胞株の相互作用の検証を計画している。先行研究の結果からZAGの標的としてマクロファージを想定したが、ZAGに対するマクロファージの反応性は比較的小さいことから、2023年度は①②の解析に用いる免疫細胞リネージについて再検討する必要性が生じ、現在に至るまで継続中である。また③の検証目的にZAGノックアウト乳癌細胞株を作成中である。いずれの実験も一定の結論を導き出せるだけの結果が得られておらず、引き続き解析を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では①ZAGと相互作用する免疫関連分子の同定、②ZAGによる抑制系シグナル制御の検証、③乳癌細胞株と免疫細胞株の相互作用の検証を計画している。上記の通り先行研究の結果からZAGの標的としてマクロファージを想定したが、ZAGに対するマクロファージの反応性は比較的小さいことから、2023年度は①②の解析に用いる免疫細胞リネージについて再検討を開始した。T cell初代培養系を構築し、これに対するZAGの作用を検討中であるが、現在のところZAGの添加によるT cell phenotypeの有意な変化は観察されていない。③の検証目的にZAGノックアウト乳癌細胞株を作成中である。T47-D乳癌細胞株を用いたノックダウン株の作成は完了し、最終確認中である。再現性の確認のためこれとは別にZR75-1を用いZAGノックダウン株の作成を試みたがZAGノックダウン株は増殖が極端に遅いばかりか、継代も困難で維持が不能と判断、ノックダウン株の作成を断念した。①②③いずれも投与予定した実験計画の中では予備実験に相当する段階であり、進捗状況としては当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では①ZAGと相互作用する免疫関連分子の同定、②ZAGによる抑制系シグナル制御の検証、③乳癌細胞株と免疫細胞株の相互作用の検証を計画している。①②に用いる免疫細胞としてはできるだけZAGに対する反応がはっきり認められるものを選定した上で実験を進めたいと考えている。現在のところ次のスクリーニング対象として樹状細胞、NK細胞を検討中である。③に用いるZAGノックダウン乳癌細胞株についてはこれまでに手元にある6種類の乳癌細胞株のうちZAG発現が見られるのはT47-DとZR-75-1のみであったことから一旦実験自体はT47-DのZAGノックダウン株を用いて進めることとしている。
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