研究課題/領域番号 |
23K08081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
杉谷 巌 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50465936)
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研究分担者 |
軸薗 智雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10465312)
長岡 竜太 日本医科大学, 医学部, 講師 (90763235)
眞田 麻梨恵 日本医科大学, 医学部, 助教 (80809541)
銭 真臣 日本医科大学, 医学部, 助教 (00838633)
數阪 広子 日本医科大学, 医学部, 助教 (90838632)
松井 満美 日本医科大学, 医学部, 助教 (30838644)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 甲状腺乳頭癌 / 過剰診断・過剰治療 / アクティブ・サーベイランス / TSH抑制療法 / Shared decision-making / 多機関共同研究 / Shared decision making |
研究開始時の研究の概要 |
甲状腺低リスク乳頭癌の過剰検査・過剰治療の問題に対し、申請者らはActive surveillance(AS)の前向き試験を行ってきた。本研究では①TSH抑制療法がAS中の進行リスクを減少させるかのランダム化試験、②ASの適応をT1bN0M0乳頭癌に拡大することができるかについての前向き試験、および③Shared decision-makingの質向上のためのWebツール開発と有効性検証を行う。これにより低リスク乳頭癌患者に、より安全で満足度が高いASを地域格差なく提供することが可能となる。また、過剰治療対策のモデルとして、がんサバイバー増加や医療経済圧迫といった問題解決に対する布石ともなる。
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研究実績の概要 |
低リスク微小乳頭癌(T1aN0M0)の過剰治療予防策として日本から発信された積極的経過観察(Active surveillance:AS)は、新たな診療方針として世界的に受け入れられてきた。一方で、実臨床での応用に際し、今後の課題となるエビデンスの不足もある。本研究は、日本内分泌外科学会の微小癌取扱い委員会(委員長:杉谷巌)をベースとした多機関共同研究によりこれらの課題に取り組むものである。 1)AS中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)抑制療法が低リスク乳頭癌の進行を抑制するかについての試験。諸事情により、ランダム化を行わない前向き観察研究としてプロトコールを改変し、まもなく研究開始の予定である。 2)T1bN0M0乳頭癌に対するAS適応拡大の安全性・妥当性についての試験。腫瘍径が1cmを超え2cm以下の低リスク乳頭癌に対するAS成績について多機関共同で症例を前向きに集積、検討する試験である。Electronic Data Capture(EDC)システムの準備がまもなく完了し、研究を開始する予定である。 3)Shared decision-makingの質向上のための低リスク乳頭癌患者に対する説明ツールのWeb上での開発。ASと通常手術、内視鏡補助下手術、ラジオ波などのインターベンション治療について、治療内容、適応、リスク(治療合併症や腫瘍学的アウトカム)、治療費、予測されるQOLなどを現状のエビデンスに基づき、視覚的にわかりやすく解説した説明ツールの開発を完了した。 上記以外に低リスク乳頭癌の患者報告アウトカム研究や自然史解明に関する研究を継続しており、2024年8月の国際内分泌外科学会や2024年9月の欧州甲状腺学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)AS中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)抑制療法が低リスク乳頭癌の進行を抑制するかについての試験。実臨床においては、甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)は甲状腺がん治療に一般的に用いられているにもかかわらず、薬剤の適用症としては「甲状腺腫」とされている。そのため、TSH抑制療法の有無についてのランダム化比較試験は特定臨床研究に相当し、参加施設が限られてしまうため、ランダム化を行わない前向き観察研究としてプロトコールを改変した。改定プロトコールについて、2024年5月に開催する微小癌取扱い委員会において検討し、倫理審査に進む予定である。 2)T1bN0M0乳頭癌に対するAS適応拡大の安全性・妥当性についての試験。1)の前向き研究に用いるEDCシステム(UMIN-CLOUDを使用する予定)に網羅的にデータを集積することで解析を行うよう準備を進めている。 3)Shared decision-makingの質向上のための低リスク乳頭癌患者に対する説明ツールのWeb上での開発。ASと通常手術、内視鏡補助下手術、ラジオ波などのインターベンション治療について、現状のエビデンスに基づき、視覚的にわかりやすく解説した説明ツールを開発した。近く日本内分泌外科学会ホームページ上に展開する予定であり、公開後にはその有効性についての検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
多機関共同研究プロトコールは研究代表者が所属する日本医科大学において、中央一括審査を受ける。承認され次第、1)、2)の研究を開始する。 3)については説明ツールが公開された後、患者の病状理解度、治療方針決定に係るQOL、満足度、ASの選択率のほか、医療者側の説明におけるストレス状況、Shared decision-makingに至る所要時間などを検討する予定である。
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