研究課題/領域番号 |
23K08086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
細村 直弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (60402070)
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研究分担者 |
河野 寛 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (40322127)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | マクロファージ / 中鎖脂肪酸 / 肝細胞癌 / ジエチルニトロソアミン / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では“中鎖脂肪酸が肝マクロファージを中心とする炎症性細胞に作用し、抗炎症活性の増強と酸化ストレス軽減を通して肝細胞癌発症を抑制する“とする仮説を検証し、併せてケトン体増加の意義を解明する。最終的に本研究の成果は、中鎖脂肪酸によるNAFLDからのメタボリック肝発癌の抑制につながる栄養免疫学的視点からの新治療体系の確立につながる。
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研究実績の概要 |
【背景】今回、MCTを添加する食餌をDEN投与による化学肝発癌動物モデルに投与し、肝発癌抑制効果を検討した。 【方法】生後2週雄性C3H/HeN種マウスに、DEN(ジエチルニトロアミン)腹腔内投与(20mg/kg)を施行した。DEN投与後より二群に分け、MCT(C=8、octanate)を添加した食餌および通常餌(脂肪成分はコーン油(ω=6リノール酸))を自由摂取させた。DEN投与後28週時点で、マウスを犠牲死させ、肝臓を採取し、肝発癌の有無、腫瘍数、腫瘍最大径を比較検討した。また、肝組織所見、腹腔内脂肪組織所見を、免疫染色を用いて病理組織学的に比較検討した。さらに、肝組織における炎症性サイトカインならびにケモカインの発現、腹腔内脂肪組織におけるサイトカインの発現をELISA法により検討した。 【結果】通常餌投与(control)群と比較し、MCT投与群において肝での腫瘍数、腫瘍最大径は有意に低値を示した。また病理組織学的所見においても、肝腫瘍の増大が有意に改善された。また、肝組織における4-Hne組織免疫染色では、MCT群で脂質過酸化反応が有意に抑制されることが示唆された。肝組織でのTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、MCP-1、MIP-2の発現は、MCT群において有意に抑制された。脂肪組織におけるadiponectinの産生は、MCT群において有意に高値を認めた。 【結語】化学肝発癌モデルにおけるマウス食餌へのMCT添加は、肝組織局所での抗炎症作用並びに脂肪組織における抗炎症サイトカインの発現増加による全身性の抗炎症効果により、腫瘍の増大を有意に抑制した。また脂質過酸化反応の抑制も長期的腫瘍増殖抑制に繋がったものと推測した。今回の結果より、中鎖脂肪酸投与による発癌、腫瘍進展抑制のメカニズムについて更なる検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度に予定していた検討項目は、90%終了している。現在、動物の発癌モデルでの投与効果を確認できている段階であり、その機序を解明するための検討を行っている。今ところ令和6年度には予定していた検討を終了できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に予定し検討できなかった項目を終了させるとともに、令和4年から5年度にかけて施行予定の検討項目を行う。今後は、機序の解明に関する検討として炎症抑制への投与効果と、脂質代謝に関与するカスケードへの投与効果を検討していく。さらに、脂肪細胞への投与効果に関する検討を研究計画を立てて行いたいと考えている。
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