研究課題/領域番号 |
23K08112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
坂野 悠 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (10974058)
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研究分担者 |
久郷 裕之 鳥取大学, 医学部, 教授 (40225131)
藤原 義之 鳥取大学, 医学部, 教授 (40314330)
大平 崇人 鳥取大学, 医学部, 助教 (60757665)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / TERT / 膵がん / 染色体工学 |
研究開始時の研究の概要 |
膵がんは早期診断率が低いことに加え浸潤能・転移能が高く、さらに化学療法抵抗性を有するため、他のがんと比較して極めて予後不良であり、新規診断・治療ターゲットの獲得は喫緊の課題である。 本研究では①染色体工学技術である染色体導入法と次世代シークエンサーを用いた遺伝子網羅的解析を組み合わせた独自のアプローチによって膵がんにおけるテロメラーゼ制御機構を介した新規のがん抑制遺伝子の同定と②その同定遺伝子のRAS経路との関連性を軸とした詳細な機能解析を実施する。 この研究により膵がんの制がん戦略における新たな標的遺伝子および分子経路を同定し、早期診断法や分子標的治療薬の開発に向けた学術的基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、「膵がんにおいて、3p21.3領域上にRAS経路を介した新規hTERT抑制遺伝子が存在する」という分子機構仮説を立てた上で、この仮説の立証を目的とし、極めて予後不良である膵がんにおける新規診断・治療標的の可能性を追求することが目的である。 本年度の成果として、まずマウスの膵癌細胞株であるLTPAに3p21.3領域を搭載した人工染色体(3p21.3-HAC)を導入した。このクローンは正常ヒト3番染色体を導入したクローンと同様にmTert発現抑制効果を有したクローンであることが確認された。このmTert抑制効果を得た人工染色体導入がん細胞株を長期培養することで、mTertの再発現が認められるリバータントクローンを樹立し、RNA-seqによる候補遺伝子の選定を行った。 次世代シーケンサーを用いたRNA-seqにより、細胞内で転写される全てのRNAの発現動態を網羅的に解析した。具体的には、親株のLTPAとmTert抑制効果を有するLTPA 3p21.3-HACの遺伝子発現の差を比較・解析し、mTert発現と逆相関するものを候補遺伝子として抽出した。 さらにそれぞれの候補遺伝子について、mTert抑制効果を有する3p21.3-HACを導入したLTPAに対してsiRNAを用いてノックダウンを行った。これにより候補遺伝子の発現を低下させた際のmTertの再上昇の有無の評価を行った。結果として、候補遺伝子のうち2遺伝子において、発現低下させた際のmTert再上昇を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実施計画としては、mTert抑制遺伝子の候補遺伝子の絞り込みが課題であったので、現時点での進歩状況としてはおおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、親株のLTPAに対して得られた候補遺伝子を過剰発現させた際のmTertの抑制効果を確認する。さらには同様の実験をヒト膵癌細胞株でも行い、同様にhTERTの変化があるかを確認する。 さらには得られたTERT抑制遺伝子について臨床標本を用いた発現強度と生命予後の比較を今後行っていく予定である。
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