研究課題/領域番号 |
23K08125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
元井 冬彦 山形大学, 医学部, 教授 (30343057)
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研究分担者 |
二口 充 山形大学, 医学部, 教授 (60275120)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 膵癌 / 術前化学療法 / がん関連線維芽細胞 / 再発 / AI / 腫瘍関連線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
膵がんでは根治切除後も早期に再発し予後不良である。術前化学療法で予後は改善したが、依然再発は多い。化学療法後の組織見られる、壊死の誘導とがん細胞の残存、維芽細胞の増生と炎症細胞の浸潤を人工知能および単細胞レベルの遺伝子発現解析による手法で、がん細胞と線維芽細胞との相互作用を解析することで、再発(がんの再活性化)に関わる分子メカニズムの同定し、再発のメカニズムを明らかにすることで、予後改善の新たな治療戦略・治療法開発の一助とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、膵がん細胞と腫瘍関連線維芽細胞(CAF)との相互作用を再活性化させる炎症細胞の同定および、再活性化に関わる分子メカニズムの同定を目的としている。切除可能膵がんにおいても、術前化学療法後の切除が標準治療として行われているが、切除後の再発は依然高頻度であり、切除検体を解析することで、再発に関与するメカニズムの一端を明らかにするべく研究を進めている。 術前化学療法後に膵切除を受けた症例で、早期再発症例(18ヶ月以内)と未再発症例を比較した。臨床経過としては、両者に画像的治療効果に明瞭な差は認めず、早期再発例で血清腫瘍マーカーがやや高値で遷延する傾向を認めた。術前化学療法後に血清腫瘍マーカーが正常化しない症例・低下しない症例では有意に予後不良であり、血清バイオマーカーによる治療効果判定・予後予測が有用な可能性が考えられた。 病理学的に検索では、再発例でアルシアンブルー染色陽性のImmatureな間質が多く、特に腫瘍辺縁部に多く局在している所見を認めた。一方、未再発例ではMatureな間質が多く、Immatureな間質はほとんど観察されず、臨床的再発及び腫瘍細胞とCAFの再活性化に関連している可能性があることが示唆された。Immatureな間質に存在するCAFではMatureな間質に存在するCAFに比べ、免疫染色でTenacin-C蛋白の発現が著しく低下しており、CAF表現形の違いが再活性化のメカニズムに関わっている可能性がある。 さらに空間解析によるMature, Immature間質における炎症細胞の同定・評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術前化学療法後の膵がん検体は当初の想定どおり、早期再発例及び未再発例から採取することが可能であり、両者の間質が組織学的に差を認めることを明らかにすることが出来ている。本研究の主たる対象であるがん関連線維芽細胞(CAF)にも表現形の違いが存在することを捉えており、本年度以降の研究でその違いを明らかにしていくことが出来ると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
術前化学療法未施行の膵癌切除検体も加えて、AI(HALO)を用いた空間解析で、炎症細胞とCAFの局在を可視化し、前年度明らかにした間質の差異に注目しながら、膵がん細胞とCAFの再活性化、ひいては臨床的再発に繋がる炎症細胞の候補を同定するとともに、scRNA-seqを行ってmRNAを網羅的に解析する。臨床データを更に追加して、生存解析も同時進行で進め、臨床アウトカムの背景になる生物学的メカニズムの解析を行う。
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