研究課題/領域番号 |
23K08129
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊丹 偉文 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80911982)
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研究分担者 |
高橋 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50452389)
田中 晃司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70621019)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細菌叢解析 / 食道癌 / 口腔内細菌叢 / 腸内細菌叢 / 腫瘍内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、次世代シークエンス(Next-Generation-Sequencing :NGS)技術の確立により、従来培養が困難であった微生物を含めた網羅的な解析が可能となった。そのため、腸内細菌叢の研究は急速に進歩し、腸内細菌叢の乱れが様々な病気と関連することがわかっている。一方で同じ連続する消化管である食道内の細菌叢についてはまだまだ不明な点が多く、口腔内、腸内細菌叢との関係も不明な点が多い。食道癌の組織に存在する細菌を解析し、食道細菌叢について網羅的に分析し、細菌叢の乱れを改善することで、新たな食道癌治療となる可能性があり、本研究ではその新規治療介入方法について探索する。
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研究実績の概要 |
食道癌の治療前、初診時の内視鏡生検を正常組織、腫瘍組織より採取し、16Sメタゲノム解析を行い、細菌叢解析を開始した。現時点では40例の正常、腫瘍ペアサンプルを採取し、細菌叢解析を行った。患者背景は年齢中央値は71歳、男性は31例であった。術前化学療法を行い、手術施行した症例は31例認めた。α多様性(CHao1 Index, Faiths, OTUS, Shannon Index, Simpson Index)に関しては正常組織、腫瘍組織の有意差は認めなかった。β多様性について比較を行うと、正常、腫瘍でUnifrac距離ではweighted,unweightedともに群間差は認められなく、個人間での細菌叢の相違が大きく影響していることが示された。レフセ解析では正常組織にPseudomonadales目が有意に多い結果となっていた。化学療法感受性別に比較を行うと、Grade1(n=19)の症例は、Grade2,3(n=12)と比較してLactobacilus属が多い結果となった。また、Grade2,3の症例ではStreptococcus-anginosusが有意に多い結果となった。口腔内汚染症例(n=18)は口腔内非汚染症例(n=22)と比較して腫瘍内細菌叢にPrevorella属が多い結果となっていた。こちらは正常組織での比較でも同様に、口腔内汚染症例では正常組織内細菌叢においてもPrecotella属が多い結果となった。口腔内汚染症例18例のみを対象とし、腫瘍組織、正常組織をレフセ解析にて比較すると、腫瘍組織ではPseudomonadales目が多く認められた。この結果は、口腔内の汚染状況は食道管腔臓器の全体に波及する可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点ではサンプル採取、解析はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は40例の正常・腫瘍のペアサンプルに対して、ITS真菌叢解析を行うことで、食道癌の腫瘍内細菌叢・真菌叢の相互作用についても検証してゆく予定である。また、大阪大学歯学部との連携により、術前歯科受診した際の歯石を16S細菌叢解析を行うことで、口腔内細菌叢と腫瘍内細菌叢の関連についても明らかにする予定である。
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