研究課題/領域番号 |
23K08131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
井岡 達也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (70501815)
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研究分担者 |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
松井 洋人 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60780781)
新藤 芳太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70749811)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究開発の対象は膵癌におけるmFOLFIRINOX療法の個別化展開である。膵癌は病勢進行が早く極めて予後不良な癌腫である。本邦では、副作用の懸念からmFOLFIRINOX療法の実施率は10%に止まる。 本研究の学術的「問い」は、膵癌に対する化学療法至適化のために必要なバイオマーカーは何かである。本研究によって、予後不良かつ治療選択肢の乏しい膵癌に対して、個々の患者に応じた治療選択を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、個別化医療 (precision medicine) 実現のために、難治がんである膵癌を対象とし、個々のがん患者における抗がん剤副作用を予測可能とするバイオマーカーを探索し、最も有効で副作用のない治療を選択可能にすることである。本研究により、膵癌に対してmFOLFIRINOX (mFFX) 療法を施行する際に前もって副作用、また治療効果が予測可能となれば、副作用抑制による患者QOLの向上だけでなく、奏効率の高い患者群に対するmFFX療法の選択機会が増えることとなり、治療効果向上につながる。膵癌に対するmFFX療法は好中球減少などの高頻度の副作用が問題となっている。抗癌剤副作用は癌細胞ではなく骨髄細胞などの正常細胞への影響により発生することから、特定の遺伝子多型から副作用発生を事前予測可能な場合がある。膵癌に対するmFFX療法を施行する患者を対象として探索研究を行うことで、副作用の予測因子となり得る遺伝子多型を明らかにする。 mFFX症例をWES解析することで、さらなる副作用予測用の候補遺伝子多型を得られ特許出願を行ったところである。5つの副作用関連遺伝子多型候補が得られ、その内の4つの遺伝子多型は、膵がん64症例において、遺伝子多型頻度と副作用 (>グレード3好中球減少) 発生頻度との間に有意な線形傾向を示し、多変量解析においてもその内2つは有意な独立した危険因子と示された。興味深いことに、この2つの遺伝子多型のリスクアレルの単なる和が高い副作用予測性能を有することも示された (AUC = 0.828, 感度0.706、特異度0.867)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点 (n=64) での、本研究によって得られたmFFX副作用予測遺伝子多型マーカーの診断性能は高いことが示された (AUC = 0.828, 感度0.706、特異度0.867)。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子多型以外の因子 (年齢・性別等) も考慮したmFFX副作用予測式を構築する。また、血液毒性以外に消化管毒性 (下痢) や治療効果についてもバイオマーカー遺伝子多型の性能を検証する。
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