研究課題/領域番号 |
23K08174
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
萱島 寛人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80546557)
|
研究分担者 |
吉屋 匠平 九州大学, 大学病院, 助教 (20717079)
戸島 剛男 九州大学, 大学病院, 講師 (40608965)
長尾 吉泰 九州大学, 大学病院, 助教 (70608968)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 教授 (80363373)
原田 昇 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80419580)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 講師 (90382423)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 生体肝移植 |
研究開始時の研究の概要 |
非代償性肝硬変の唯一の治療法は肝移植であるが、本邦では健常人ドナーから部分的に摘出した肝臓(グラフト)を用いた生体肝移植が主体である。生体肝移植においてはドナーの安全性が最重要であり、摘出するグラフトは最小限にすることが望ましいが、レシピエントには十分に機能する最大限のグラフトが必要である。この矛盾を解消するためには、グラフトの量のみならず、質の評価が必要である。本研究は今までドナーの実年齢以外に明らかとされてこなかった生体肝移植のグラフトの質の評価に着目した研究であり、低侵襲で精度の高い革新的なグラフトの質的評価方法を確立し、本邦における生体肝移植の治療成績向上を目指すことが目的である。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は本邦における生体肝移植の更なる治療成績の向上を目指して低侵襲で精度の高い革新的なグラフトの質的評価方法を確立することである。レシピエントの予後に関与するドナー側因子はグラフトの大きさとドナーの実年齢が重要であったが、高齢ドナーのグラフトを用いる際に特異度が高いグラフトの質的評価マーカーによって症例に応じた適切な大きさのグラフトが選択可能となれば、レシピエントの生命予後が期待でき、かつ、ドナーへの過剰な侵襲を回避することが可能となる。 現時点でこれらのグラフトマーカーの評価にはドナー肝組織が必要であるが、肝組織を得るための肝生検は出血、胆汁漏等のリスクを伴う侵襲の大きな検査である。そこで、ドナー末梢血単核球 (PBMC)を用いてヒト肝臓の生物学的老化やグラフトの質を安全に予測する研究を計画した。しかし、従来の方法では採取されたPBMCの収集細胞生存率は約30%と不良であり、新規PBMC採取方法の確立が必要であった。新規採取方法を確立し生存率を約80%ほどにまで引き上げることが可能となった。 同定されたグラフトの質的評価遺伝子マーカーを用いた遺伝子改変ラットを作成し、当科で報告したヒトiPS由来肝細胞 (i-Heps)を用いたグラフト機能改善の治療を想定した動物実験での実証研究を行うために、ヒトiPS由来星細胞 (i-Stes)を用いたi-Hepsの増殖に関する実験を行った。i-Stesとヒト星細胞細胞株LX-2から収集した上清をi-Hepsに投与したところ、i-Stesの上清はLX-2の上清と比較して有意にi-Hepsの増殖を促すことが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分な収集細胞生存率を有する新規のドナーPBMC採取方法の確立までにやや時間を要したが、概ね順調に経過している。
|
今後の研究の推進方策 |
新規採取法で収集したPBMCを用いて、細胞表面抗原マーカーを網羅的に約600種比較し、グラフト不全群と非グラフト不全群で発現差を認める抗原を抽出する。発現差を認めた抗原に対しマルチフローサイトメトリーを施行しバイオマーカーとして有用な候補遺伝子を絞り込む。 ヒトiPS由来i-Hepsの投与によるグラフト機能改善への治療応用を検討するために、肝切除後肝不全モデルラットを用いて経門脈的にi-Hepsを投与し、ラット血清中のヒトアルブミン濃度の推移、移植後90日目のラット肝でのi-Hepsの生着を確認する。
|