研究課題/領域番号 |
23K08187
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松山 尚樹 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20971724)
|
研究分担者 |
久保木 知 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (50571410)
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
小西 孝宜 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80865882)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | TWEAK/Fn14 axis / CRLM / 大腸癌肝転移 / TWEAK / Fn14 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌肝転移巣における癌周囲微小環境への癌進展の影響についてTWEAK/Fn14 axisに着目した。 腫瘍関連マクロファージ(TAM)と癌関連線維芽細胞(CAF)から放出されるTWEAKが癌細胞のFn14に結合し癌細胞の悪性度を高め、さらにはcytokineを放出しTAMとCAFを誘導することで癌進展をもたらす周囲環境を形成すると仮説をたてた。 本研究では大腸癌肝転移切除検体を用いて肝転移巣でのTWEAKとFn14の発現と臨床病理学的因子の関係を明らかにし、大腸癌細胞株ならびに大腸癌肝転移モデルを用いてTWEAK/Fn14 axisの癌進展機構の影響を腫瘍因子と周囲環境の変化に着目して解明する。
|
研究実績の概要 |
肝転移巣における癌周囲微小環境が癌進展へ及ぼす影響を解析するために、大腸癌肝転移(CRLM)に対して肝切除を施行した症例の切除標本を用いて、CD68, CD163の免疫染色にて、CRLMの癌周囲微小環境におけるmacrophageの評価を行った。腫瘍先進部におけるCD68陽性細胞の集積は予後と関連を認められなかったが、同部位のCD163陽性細胞の集積が多い症例には肝切除後の予後は不良であった。 また腫瘍先進部のTumor budding(TB)やPoorly differentiated clusters(PDCs)を多く伴う症例では有意に予後が悪かった。腫瘍先進部のCD163陽性細胞の遊走はTBとPDCsの多寡と正の相関を認めた。この結果は腫瘍先進部において、M2 macrophageが腫瘍細胞のEMTや遊走能に影響を及ぼす可能性を示唆している。 以上の結果より、macrophageが放出するサイトカインが腫瘍細胞の悪性度を高めると仮説し、TWEAK/Fn14 axisに注目した。肝転移巣での免疫染色でTWEAK、Fn14の発現を評価すると、TWEAKは腫瘍先進部の免疫細胞や周囲の間質に発現しており、Fn14は腫瘍先進部の腫瘍細胞に発現していた。また、TWEAKの発現とCD163陽性macrophageの浸潤に正の相関を認めた。さらに、TWEAK高発現且つFn14高発現の症例ではTB, PDCsを有意に多く認め、肝切除後の予後が不良であった。 これらの結果は腫瘍先進部におけるTWEAKがその受容体である腫瘍細胞のFn14に結合して、EMTや遊走能を惹起する可能性を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体を用いた免疫染色によって、癌微小環境のTWEAKと腫瘍細胞に発現したFn14がEMTや細胞遊走能と関連するTumor buddingやPoorly differentiated clustersと相関を示し、さらに予後に影響を与える可能性を示すことが出来た。 in vitroでの解析に移る前としては概ね順調に研究を進められていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
TWEAK/Fn14 axisのin vitroでの機能解析を行う。大腸癌細胞株であるHCT116, WiDr, DLD-1を用いてFn14発現をWestern blotとPCRにて確認する。recombinant TWEAKを通常の大腸癌細胞株に付加し、癌進展に関連する機能解析を行う。例えば、細胞増殖能、細胞遊走能、細胞浸潤能を評価する。またrecombinant TWEAK付加後に経時的に細胞蛋白を抽出して、それぞれのシグナル伝達経路の活性をWestern blot法で検討する。さらには同様の実験において、Fn14 antibodyであるITEM4を使用することで、recombinant TWEAKが腫瘍細胞のFn14を介してそれらの機能を活性化させたことを証明する。
|