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メタボロゲノミクス解析による胃癌術後腸内細菌叢の解明と術後栄養障害の革新的治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K08197
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分55020:消化器外科学関連
研究機関独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター)

研究代表者

太田 光彦  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科 医長 (70432937)

研究分担者 沖 英次  九州大学, 医学研究院, 准教授 (70380392)
木村 和恵  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70631927)
胡 慶江  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80792902)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード胃癌術後 / 腸内細菌 / 体重 / 骨格筋量
研究開始時の研究の概要

胃癌において手術は治療の中心であるが、術後の体重減少や栄養障害は患者のQOLのみならず予後も悪化させることが明らかとなった。胃癌患者の術後体重減少は解決には至っていないアンメットニーズである。腸内エコシステムの乱れは多くの疾患と関連が示唆され、我々は食道癌治療の経過中の腸内細菌叢の変化を報告してきた。本研究では胃癌術後の体重減少や栄養障害の観点から、胃癌術後患者の便と血液を用いてメタボロゲノミクス解析を行い、栄養状態と代謝物・腸内細菌叢データとを相関解析し,術後栄養状態に関連する腸内エコシステムの解明を行い、胃癌術後栄養障害の革新的治療法の開発を行っていく。

研究実績の概要

胃癌術後の体重減少や栄養障害は、患者のQOLのみならず予後を悪化させることが明らかとなっている。胃癌患者にとって術後の体重減少は、これまで栄養剤の付加などが試みられてきたが解決には至っていないアンメットニーズである。腸内エコシステムの乱れが多くの疾患と関連していることが示唆されており、本研究では胃癌術後の体重減少や栄養障害の観点から、胃癌術後患者の便と血液を用いてメタボロゲノミクス解析を行い、栄養状態と代謝物・腸内細菌叢データの相関解析を通じて、術後栄養状態に関連する腸内エコシステムの解明を目的としている。
これまでの進捗として、胃癌術後の骨格筋量の減少に関する解析からも重要な成果が得られた。胃癌術後の骨格筋量の減少は予後と関連し、特に、胃切除術の種類や再建術式が骨格筋量の減少に影響を与えることが明らかとなった。これらの結果は、術後の胃酸分泌や食物の十二指腸通過が腸内細菌と関連している可能性を示唆しており、今後の前向き研究で腸内細菌叢との相関解析を行う際に重要な背景因子となるデータが得られた。
症例登録においては、令和5年度には、九州大学病院の倫理委員会に研究計画を申請し、承認を得た。現在、症例のリクルートを開始しているが、当初の計画で対象としていたStage I胃癌症例の登録には苦戦している。適格症例が少ない現状を踏まえ、対象をStage IIまで広げ、多施設での研究を検討中である。研究代表者の異動もあり、研究の進行に遅れが生じている面もあるが、共同研究者との連携強化や新たな研究拠点の活用により、研究の推進を図っている。これにより、症例登録の促進と研究の進展が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度において、九州大学病院の倫理委員会に研究計画の申請を行い、無事に承認を得られた。現在、症例のリクルートを開始しているが、当初対象としていた術後の補助化学療法の適応とならないStage I胃癌の症例の登録には苦戦している。適格症例が少ない中、症例の波も影響している。
一方で胃癌手術症例に関するレトロスペクティブな解析では、重要な成果が得られた。2014年から2018年に九州大学消化器・総合外科で手術を受けた原発胃癌の患者273例(Stage I-III、R0切除)を対象に、骨格筋量の解析を行った。第3腰椎レベルでの骨格筋面積を測定し、BMIによって異なるカットオフ値を用いて骨格筋量の減少を定義した。その結果、術後1年時点で骨格筋量が減少した症例は、減少しなかった症例に比べて予後が有意に悪いことが示された(p<0.05)。
さらに、胃切除術の種類別に解析を行うと、幽門側胃切除術は胃全摘に比べ、術後1年での骨格筋量の減少が有意に抑えられていた(p<0.05)。また、幽門側胃切除術を行った症例では、Billroth-I法による再建がRoux-en Y再建に比べて術後1年での骨格筋量減少率が少ないことも示された(p<0.05)。
この解析結果は、胃切除術や再建術式が術後の骨格筋量減少に影響を与えることを示しており、これが術後の予後に関連する重要な因子であることが明らかとなった。特に、胃酸の状態や十二指腸への食事の通過の有無が腸内細菌叢と関連する可能性を示唆しており、今後の前向き研究において重要な背景因子となることが期待される。
このように、進捗は遅れているものの、現段階で得られたデータは非常に有意義であり、今後の研究の基盤となる重要な知見が得られた。これらの成果を基に、今後も柔軟かつ積極的に研究を推進し、より多くの症例を登録することで、胃癌治療の発展に寄与することが期待される。

今後の研究の推進方策

現在、症例登録の準備は整っているものの、登録症例数の増加が課題である。計画当初は、腸内細菌叢への抗がん剤治療の影響および再発による栄養状態の変化を考慮し、再発が少なく補助化学療法の適応とならないStage I胃癌を対象としていた。しかし、近年の胃癌症例の減少や早期胃癌症例の増加により、計画通りに症例集積が進んでいないのが現状である。
今後は、症例登録を増やすために、対象をリンパ節転移のないStage IIまで拡大し、症例集積を促進する予定である。また、研究施設を九州大学の単施設から、多施設共同研究に拡大することを検討している。具体的には、年間80例程度の胃癌手術を実施している九州医療センターおよび九州がんセンターを参加施設に組み入れるための準備を進めている。
さらに、研究代表者が九州大学から九州医療センターへ異動したことも症例登録が遅れている原因の一つとして考えられる。これに対応するため、九州大学の共同研究者と定期的に連絡を取り合い、研究を推進していく体制を強化する。また、新たな研究拠点での症例集積を円滑に進めるため、九州医療センターの研究チームとの協力関係を築き、情報共有や研究進捗の確認を綿密に行う予定である。
これらの対策により、症例登録の増加が期待でき、研究の進展が加速することが見込まれる。特に、対象範囲の拡大と多施設共同研究の推進により、より多くのデータを収集し、腸内細菌叢と抗がん剤治療および栄養状態の変化に関するより精緻な分析が可能となるだろう。これにより、胃癌治療の新たな知見を得ることができ、患者の治療成績向上に寄与することが期待される。
今後も柔軟かつ積極的に対応し、胃癌治療の発展に向けた貢献を目指していく。新たな知見を基に、より効果的な治療法の開発や臨床応用への展開を目指し、研究を一層推進していく方針である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 胃癌患者における術前後のオステオペニアおよびサルコペニアの検討2024

    • 著者名/発表者名
      龍神圭一郎、太田光彦、川副徹郎、田尻裕匡、財津瑛子、中西良太、中島雄一郎、沖英次、吉住朋晴
    • 学会等名
      第96回日本胃癌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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