研究課題/領域番号 |
23K08224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
主藤 朝也 久留米大学, 医学部, 准教授 (50309803)
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研究分担者 |
河原 明彦 久留米大学, 大学病院, 医療技術員 (00469347)
内藤 嘉紀 久留米大学, 大学病院, 准教授 (50465712)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Esophageal Cancer / TIME / Evaluation Platform |
研究開始時の研究の概要 |
2020年より食道癌の治療戦略の一つに免疫治療が導入されたが、現在の病理診断は腫瘍の深達度、リンパ節転移評価が主で、免疫治療の効果をみるのに重要な腫瘍免疫微小環境(TIME)の評価が含まれていない。今後、複数の免疫治療が食道癌治療に導入される可能性が高く、TIME評価を含めた病理診断が必須と考えられる。本研究は、食道癌主病変部、リンパ節のTIME評価を現行利用可能なリソースを使用して診断支援、自動診断が構築できるかを検証する。また、食道癌切除症例組織標本のデジタル化データとQuPath搭載の学習機能を活用し、食道癌TIMEの自動診断アルゴリズムの確立とTIMEのデータ化を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は食道癌主病変部、リンパ節の腫瘍免疫微小環境(TIME)評価を現行利用可能なリソースを使用して診断支援、自動診断が構築できるかである。実験解析の前提として解析用のPCの導入、および切除切片組織の確保と、適応症例の選択、薄切切片組織標本の作成をスタートした。また、免疫組織学染色(IHC)の抗体購入、IHC試薬の購入を開始した。 初年度計画していた、食道癌切除症例の選定と組織ブロックの取得を開始、Tリンパ球のサブセットの解析のためのプレパラート切除切片作成と免疫染色(IHC)を施行した。現在まで75例の食道癌切除症例の切除病変切片においてCD3,CD4, CD8, CD45RO, Foxp3, の免疫染色(IHC)を施行している。作成されたプレパラートについて、NanoZoomerを用いたスキャナによるデジタル化を施行している。合わせて、該当症例の郭清リンパ節切除標本に関しても同IHCを行いスキャンを行う準備に入っている。 それと並行して、初期の50症例のロットを用いて、QuPathに搭載されたAI機能を利用し、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)切片でのトライアルアルゴリズムの作成を開始した。アルゴリズムには自動での組織切片の外縁の選択、細胞数の抽出、構成細胞の層別化の機能を組み込む予定で、各細胞集団の特徴を指定し、AIへのデータ集積を行う予定である。さらに、腫瘍部の認識を、免疫細胞の違いをIHCイメージを組み合わせて行えないか現在トライアル中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究開始時に導入を予定していた解析用PCの搬入時期が予測よりも遅延したたため、解析の開始が後ろ倒しになった。 QuPath搭載AIの細胞層別化アルゴリズムの最適化に時間を要している。細胞層別化に関しては、テスト症例での腫瘍細胞、正常細胞、免疫細胞、間質系細胞の代表例の指定が必要であるが、1症例での指定では不足しているため、複数症例でのトライアルによるアルゴリズム生成が必要である。この段階で、細胞層別化には病理医の関与が欠かせないが、日常業務の合間での同作業は「医師の働き方改革」にともなう業務時間短縮の影響もあり、限られている。さらに、1症例について免疫染色を複数行う必要があるため、免疫染色作業が自動化されているとはいえ、画像データの取得まで時間も必要である点が、当初の研究計画よりも遅延が生じている原因である。合わせて、食道癌では3領域リンパ節郭清という広範のリンパ節郭清が行われるため、1症例についての郭清リンパ節個数が50個を超えることも少なくない。これら複合要因により、作業量が多くなる原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに施行した75症例の画像解析に合わせて、さらに目標症例数200症例を目指す。また、同症例の郭清リンパ節切除ブロックの選定とIHCを継続して行う。 アルゴリズム構築に関しては、現状での試みを継続。また、我々は別の研究解析で腫瘍細胞の細胞密度が予後予測に関連していることを見出しており、層別化にとらわれない方法でのアルゴリズム構築も検討する。ただしこれらの策を講じたとしても、医師の働き方改革は国の施策のため法を犯しての研究遂行は許容されない。そのため、本研究の当初の研究計画期間の延長も視野にいれて研究計画期間の見直しが今後必須である。
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