研究課題/領域番号 |
23K08233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三隅 祐輔 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (20631477)
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研究分担者 |
櫻井 保志 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30466411)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 植込み型左室補助人工心臓 / 在宅医療 / 音響解析 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
重症心不全に対する植込み型左室補助人工心臓(LVAD)は、心臓移植までの橋渡し治療及びDT治療として適応が拡大している。本治療では術後患者が在宅へ移行しうる反面、重篤な合併症が在宅管理の大きな妨げとなっており、在宅で人工心臓の状態を正確に把握する技術が必須である。この研究計画では、音響解析を用いてLVADの駆動音から循環動態因子を抽出すると共に、病態毎にLVAD駆動音が受ける変化を調べる。
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研究実績の概要 |
LVAD装着患者の駆動音を小型高感度マイクで収録し、カスタムソフトウェアを用いて音響信号を解析した。LVADポンプ回転に伴う楽音及びその他のノイズについて、周波数成分と振幅成分等を抽出した。続いて音響データの数値化(特徴量の抽出)、予測因子の選択(重要特徴量の決定)、これらと臨床的に得られた情報との比較検討を行った。 第三世代磁気浮上型LVAD機種を装着された症例から、延べ101回の音響信号データを収集した。MATLABによるカスタムソフトウエアを用いて音響信号の時間周波数解析を行い、臨床データとの関連を検討した。当該機種において、回転数が予め設定された値で通常駆動しているLVADにおいて、LVAD回転数を反映する基音の周波数と基音の大きさ(amplitude)それぞれの変動に周期性がみられた。臨床データと比較検討すると、この周期性には、自己心の心拍数および呼吸数が関連していると推察された。研究期間中、音響信号を収集した症例においてLVAD駆動異常や心不全入院などのイベントはみられなかった。 上記で得られた結果に対するvalidationを行うため、模擬循環回路を用いた実験環境を構築中である。また、リアルタイムAI解析に供するのに最適化された状態で音響データを収集するための環境構築も同時に行っている。 LVAD音響信号のリアルタイムAI解析を行うことで、経時的かつ非侵襲的にLVAD異常や循環動態の変動を予測・診断し、LVAD在宅患者に対する遠隔管理システムの技術的基盤の確立を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた計画は、① LVAD装着症例から経時的に録音したLVAD駆動音と各症例のLVAD駆動状況や循環動態、と② LVADを組み込んだ模擬循環回路を用いた、LVAD駆動音と循環動態因子(LVAD前負荷・後負荷や心拍出の増減)、LVAD駆動状況との関連の検証、の二項目であった。 ① LVAD装着患者からの駆動音及び臨床データの蓄積、に関しては、現在の主力機種である磁気浮上型LVADを装着した症例から延べn=101の音響信号データを収集した。これと同時にかかる症例における循環動態や臨床所見に関するデータも集積した。症例データの蓄積量は当初の予定通りに進捗していると考えられる。 ② LVADを組み込んだ模擬循環回路を用いたvalidationについては、模擬回路に使用するポンプ回路を選定し、実験環境の構築を行っている状況であり、概ね予定通りの進捗と考えらえる。
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今後の研究の推進方策 |
①LVAD駆動音と循環因子との関連の解明として、引き続き対象症例におけるLVAD音響データを収集するとともに、各症例の臨床データを蓄積する。音響データの解析を行い、臨床データとの相関について検討を行う。データ解析の過程と結果をうけて、音響信号収集の方法を最適化する。 ②模擬循環回路を用いた、LVAD駆動音と循環因子との関連の検証として、模擬循環回路を用いた実験環境を構築し、上記課題にて得られた音響データと臨床所見との相関に関するvalidationを行う。 ③LVAD駆動音から循環変動やLVAD駆動異常を検知するアルゴリズムの作成として、上記課題によって解明されたLVAD駆動音と循環因子及びLVAD駆動状況の関係を元に、異常発生の予兆となりうる微細な信号変化を捉え、異常発生の予測を行うモデルを作成する。音響成分からその特徴的な変数(特徴量)を複数抽出し、それらの変数を機械学習的手法で解析する方法を軸としてすすめるが、この際に症例毎に蓄積されたデータを時系列データ解析の手法を応用する。
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