| 研究課題/領域番号 |
23K08253
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河村 拓史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60839398)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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| キーワード | DDS / mRNA / 心不全 / 心筋再生 / ナノミセル / Lipid Nanoparticle / エクソソーム / iPS細胞 / 細胞外小胞 / 再生医療 |
| 研究開始時の研究の概要 |
近年、細胞移植による再生医療の主たる治療メカニズムとして、細胞から放出されるエクソソームを含む細胞外小胞(以下Extracellular vesicles: EVs)による作用が注目されており、セルフリー再生医療として期待されている。本研究では、iPS細胞由来心筋細胞から抽出したEVsの虚血性心不全モデル動物へ作用機序を明らかにし、均一化したEVs製剤として開発することを目的とする。EVsをラベリングし、EVsの動態の追跡と薬効メカニズムの解析を行い、iPSC-CMsから抽出したEVs内の核酸のうち、治療効果が見込める核酸を複数ピックアップし、人工EVsを作成して治療効果の検討を行う
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| 研究実績の概要 |
近年増加傾向の心不全患者に対する再生医療が治療選択肢として期待されている。iPS細胞由来心筋細胞(iPS-CM)から抽出されたエクソソームを心不全モデルラットに投与することで心機能改善効果が得られることを証明した。しかし、エクソソームは作成に細胞治療と同様にコストがかかる上に、明確な有効成分が不明かつ製剤化した場合のロット間差が解消できないという問題点が判明した。そこで我々は治療の一般化に向けて、製剤として均一な人工エクソソームを作成することを目的とした。エクソソーム投与で心機能改善効果が得られた虚血性心筋症モデルラットの組織をRNAsequenceすると、投与後1週間までにHGF, IGF-1, PDGF-b, SDF-1, TGF-βが有意に上昇していることを証明した(Tominaga, et al. JHLT 2023)。それによる血管新生、細胞遊走、線維化調整が生じ心機能回復に寄与している可能性がex vivo実験でも示唆された。我々は、その機序を再現するモダリティとしてmRNAに注目し、人工エクソソームを作成することとした。Drug delivery systemとして、ナノミセルキャリアは、投与部位に炎症を起こさず、組織への浸透性に優れるとの特長を持つためこれを用いることとした。2024年度に施行した実験として、[1]ナノミセルがmRNAの心臓発現に有効かどうかを検証し、[2]心臓に投与したmRNA内包ナノミセルがnon-target臓器での発現有無の確認を行なった。さらに、[3]心筋梗塞による心不全モデルマウスに対してHGF, IGF-1, PDGF-b, SDF-1, TGF-βをコードするmRNA内包ナノミセルを投与して1ヶ月後の心機能が改善するかどうかを検証した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年度に施行した実験として、2024年度に施行した実験として、[1]ナノミセルがmRNAの心臓発現に有効かどうかを検証し、[2]心臓に投与したmRNA内包ナノミセルがnon-target臓器での発現有無の確認を行なった。さらに、[3]心筋梗塞による心不全モデルマウスに対してHGF, IGF-1, PDGF-b, SDF-1, TGF-βをコードするmRNA内包ナノミセルを投与して1ヶ月後の心機能が改善するかどうかを検証した。 [1]ルシフェラーゼ(Luc)mRNA内包ナノミセルとNaked Luc mRNAを心筋に投与すると、投与後1-2日目で発現ピークとなり、mRNA内包ナノミセル群は有意に高い発現を示した。さらにそれは14日目まで維持された。[2]心臓投与後翌日にex vivo解析を行うと、mRNA内包ナノミセルは心臓のみで発現を認め、その他の臓器で発現は認めなかった。[3]心筋梗塞を作成して左室区出率が50%未満に低下した心不全マウスに対して5因子mRNAを投与した。4週間後における心機能改善と、組織学的に血管新生増加と線維化率の低下を認めた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は、心機能改善効果が得られる人工エクソソーム・次世代mRNA医薬品を開発し、ヒトを対象とした臨床治験を通し、臨床応用することである。mRNAによる心不全治療はさまざまな動物実験が行われており、心機能改善効果を示す研究も見られるが、実際にヒトにおいて心機能が改善した報告はまだない。近年心不全治療の進歩は目覚しいが、現在でも薬物療法に抵抗する重症心不全が存在し、心移植・補助人工心臓の適応患者も限られるため、救命できない患者も多い。そのため、新規創薬モダリティに期待が寄せられている。今回の研究はその基礎データとなる。来年明らかにすべき課題は[1]mRNAの発現細胞と、[2]5因子のメカニズム解析である。[1]に関しては、EGFP mRNA内包ナノミセルを心筋投与し、免疫組織学的解析にて二重染色を行い発現細胞を同定する。心筋組織を構成するのは心筋細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、マクロファージなどの免疫細胞であり、トロポニンTもしくはαアクチニン、CD31、αSMA、ビメンチン、CD68などの抗体を用いることを予定している。メカニズム解析に関しては、RNA sequenceを提出し、解析予定である。
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