研究課題/領域番号 |
23K08266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松浦 功泰 東京農工大学, 農学部, 産学官連携研究員 (50880944)
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研究分担者 |
田中 綾 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70334480)
武居 昌宏 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (90277385)
小亀 浩市 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40270730)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 血液凝固能検査 / 体外循環 / 血栓 / ヘパリン / 人工心肺 / 心臓外科 / 血液凝固能 |
研究開始時の研究の概要 |
心肺機能補助に用いられる体外循環(CPB)では、深刻な合併症である血栓症が高い確率で発生することから、凝固能を迅速に評価する手法が求められている。血液の電気特性の変化に基づく新規凝固能測定法の開発により、循環している血液中の凝固能を連続的・非侵襲的に評価可能となる。本研究では、まず血栓形成が血液の電気特性に影響を与える原理を解明し、次に実験動物を用いてCPB実施中に血栓形成誘発実験を行い、新規凝固能指標を開発する。最終的にCPB下心臓手術で新規手法と従来法とを比較検証し、 新規凝固指標の有用性を明らかにする。新規の連続的・非侵襲的凝固能評価法により血栓予防と形成された血栓の早期発見を実現する。
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研究実績の概要 |
血液凝固能変化時の血液の電気的特性変化の原理の解明:ヘパリンによる血液性状の変化が血液の電気特性に影響を与える原理を調べるために、心臓手術中の体外循環回路を模した血液流動場にブタ血液を循環させ、流動血液中のヘパリン濃度を変化させる実験を行った。ヘパリン濃度変化は血液中の白血球と血小板の凝集率を変化させることによって血液電気特性を変化させることが示された。本実験により血中のヘパリン濃度変化に伴う血液の電気特性変化を理論的に説明することが可能となり、今後個体ごとに異なる血液性状を呈する臨床例においても白血球と血小板の性状に着目することによって電気特性変化を理論的に説明可能となることが期待される。また、血液中ヘパリン濃度と比誘電率に相関がみられたことから、非誘電率が有望な新規凝固能指標の候補となる可能性が示された(The 3rd World Congress of ESCHM-ISB-ISCH 2023にて発表)。6年度以降はこれらの指標を用いて症例や実験動物に適用し、血液凝固能の非侵襲的かつリアルタイムな計測への有用性を検討する予定である。 安定した電気計測のためのセンサー電極の最適化:これまで実験中の電気的ノイズが計測データの解析の支障となっていた。電気的にノイズの少ない安定した電気計測環境を確立するために3Dプリンターを用いて体外循環回路に接続可能な新たなセンサー電極を作成した。新たなセンサー電極を使用した実験では従来の実験で観察された周期的な電気的ノイズが見られなかった。新たなセンサー電極の使用によって細かい電気特性変化を捕捉することが可能となったことで、より鋭敏な新規凝固能指標の発見が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物を用いた体外循環中血栓形成誘発実験を行い、新たなセンサー電極を用いて電気特性を非侵襲的かつリアルタイムに計測した。すでに終了した1回目の実験では血中ヘパリン濃度を変化させることにより血液凝固能を調節するモデル実験に成功している。実験中の血液凝固能の変化が電気特性の変化と相関しており、実験は順調に進行していると考えられる。より詳細な電気特性解析を実施しており今後血液凝固能を反映する最適な電気的指標を検索していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物を用いた体外循環中血液凝固能調節実験は順調であり、実験は現在の手法で進める予定である。6年度は実験中に得られた血液サンプルの解析と電気的データの詳細な解析により実際の血液凝固能と強く相関する新規凝固能指標を検索する。得られた知見について論文発表を行い、研究成果を発信していく。 実験では安定した電気計測により詳細な血液電気特性の解析が可能であるが、実際の臨床では血中蛋白濃度や血球濃度が個体ごとに異なるため種々の要素が血液凝固能に与える影響を調べる必要がある。実験により得られた新規凝固能指標の臨床的有用性を検討するためにイヌの臨床例心臓手術において体外循環中血液電気計測を行う予定である。症例データを蓄積し、血中蛋白濃度や血球濃度が異なる症例においても均一に使用できる実用的な新規凝固能指標の開発が期待される。
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