研究課題/領域番号 |
23K08269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川東 正英 京都大学, 医学研究科, 助教 (00837700)
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研究分担者 |
湊谷 謙司 京都大学, 医学研究科, 教授 (20393241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 抗菌性 / ステントグラフト / ドラッグデリバリーシステム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ステントグラフトのステント(針金)骨格に着目し、従来にないステントグラフトのステント(針金)骨格と抗菌薬の組み合わせによって抗菌作用を得る手法を開発する。我々がこれまで研究を進めてきたドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術も応用する。本研究の目的は、心臓血管外科領域の感染性大動脈疾患に対し、DDSを応用しながら新たな抗菌性の高いステントグラフト開発の技術基盤を確立させることである。
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研究実績の概要 |
キャリアマトリックスとしてのゼラチンにおけるリファンピシン(RFP)の保持性を評価することを目的としたin vitro実験を行なった。 方法は、現在市販中の人工血管に使用されているゼラチンを2種類入手し、0.1%ゼラチン溶液を作成した。10cm dishにこのゼラチンによるコートを行った。実臨床での使用濃度である0.2%RFP溶液を準備し、ゼラチンコートを行なった10cm dish上に満たし、37℃で15分間静置した。その後、RFP溶液を除き、D2Wでwash後、生体内を模した環境としてDMEM+10%FBSの培地をdish内に満たし、37℃のインキュベーター内で静置し、継時的なRFP残量について0時間・3時間・24時間・72時間の群に分けて評価を行った。評価方法は、メタノールを加えて回収したゼラチンコートdish内、および培地内のRFP量を液体クロマトグラフィにて定量評価した。 結果は、各群n=1ずつの検討で、2種類のゼラチンをコートしたdishの場合、コートしなかったコントロールのdishに比べて、0時間群の結果においてRFPが多く残存した。また、2種類のゼラチンそれぞれの24時間群の結果で、0時間群と同様のRFPの残存が確認された。しかし、72時間群の結果では、RFPの残存量は減少していた。一方、培地内からはRFPは定量されなかった。 考察として、今回の実験系では、dishにコートしたゼラチンは、RFP溶液とゼラチン層の表面で接触するのみとなり、十分な結合が得られなかった可能性が考えられた。これは実臨床でゼラチンコートされた人工血管にRFP溶液を含浸させた場合と同様の状況とも考えられた。 結論として、今回の実験系では、キャリアマトリックスとしてのゼラチンの有効性の評価において、プライマリーのデータと今後の実験系改良のための知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの実験を開始し、その結果から今後に向けた対策を立てており、今後の進捗が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の実験結果を踏まえ、キャリアマトリックスとしてゼラチンを有効に用いるための実験系の改良方法を考察した。方法として、ゼラチン溶解液の作成時に最初にリファンピシン溶液を添加したゼラチン溶解液を準備することで、ゼラチンとリファンピシンが十分に結合した状態でのゼラチンコートdishを作成できることが考えられた。今後、この改良実験系での検討を行うことを考慮する。 また、異なる視点からの抗菌性ステントグラフトの開発の手法として、ステント骨格のみならずグラフト自体に抗菌性を持たせる可能性も探索する。
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