研究課題/領域番号 |
23K08285
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
松本 康 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20262579)
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研究分担者 |
黒瀬 望 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10319048)
池田 博子 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10447675)
川島 篤弘 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20242563)
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
笠島 史成 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90303304)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 心膜 / IgG4関連疾患 / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
稀に心膜でもIgG4-RDが発生し,収縮性心膜炎としての報告例が多いが,多彩な像であり,IgG4関連心膜病変の臨床像;病態は未だ不明である,IgG4関連心膜病変症例を選択し,その病態を明確にする.また,血管周囲細胞からの転換線維芽細胞や,心膜心筋の臓器特異的線維芽細胞など多様な線維芽細胞が近年,報告されており,心膜線維化への関与が示唆される.これらの多様な線維芽細胞,免疫機構とIgG4関連心膜病変の線維化プロセスを検討し,病因病態の解明に挑む.これによりIgG4関連心膜病変の診断及び治療戦略の確立にも寄与する.
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研究実績の概要 |
心膜切除75 例のうち心膜肥厚が2 ㎜以上の収縮性心膜炎(constructive pericarditis;CP) 32 例を対象とし,心膜肥厚の原因が臨床的に明確な6 例と原因不明 (ICP) の26 例とに分け,ICPを、IgG4関連疾患の診断基準を満たす11 例をIgG4-CP,それ以外の15 例をnon-IgG4-CPとし,3群間の臨床病理像並びに線維芽細胞の種類,分布を比較した. 臨床像の検討;ICP 25例のうち、9 例が組織学的にIgG4-CPと評価され,全切除例の12%、ICP の36 %であった. 3群は年齢,画像上の肥厚,WBC,石灰化の有無 は同程度であった.他2群に比し,IgG4-CP群は,臨床的に,男性に多い,心嚢水再発,CRP上昇,ANA陽性率が高く,組織学的に,好酸球の出現頻度が高く,リンパ濾胞形成を示した. 心膜の二重免疫染色;組織常在性線維芽細胞(pF)のマーカーとしてPDGFRβ,膠原線維の重合の抑制作用があるmFのマーカーとしてISLR を用い,ISLRまたはPDGFRβと内皮細胞のマーカーCD31との二重免疫染色を施行した.標本をデジタル化し,画像解析ソフトQuPathを用い,、ISLR/PDGFRβ のみ発現細胞をMF/PF (mF/pF) 、CD31のみ発現細胞をISLR/PDGFRβ陰性成熟血管内皮細胞 (mature endothelium; mME/pME) 、ISLR/PDGFRβとCD31 の両方の発現細胞をISLR/PDGFRβ陽性未熟血管内皮細胞 (immature endothelium; mIE/pIE) として同定した. IgG4-CP群は、他2群に比較し,標本全体及び血管領域において,mIE, pIE, mF, pF, mME, pME全て高値を示した.特に血管周囲でMF細胞が多数認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.IgG4関連心膜病変の病理組織学的解析;心膜のホルマリン固定パラフィンブロック検体を対象とし, IgG4-RDの特徴よりIgG4関連心膜病変を選択し,臨床病理像の解明を進めた. 解剖例からの心膜例を選択し,正常コントロールとして同様の解析を進めている. 2. IgG4関連心膜病変の線維化プロセスの解明;IgG4関連心膜病変における線維化,線維芽細胞の検討 IgG4関連心膜病変のEVG染色及びcollagen免疫染色標本に対して,画像解析アプリケーションを用い,線維増生の面積,膠原線維密度を数値評価した.石灰化についてもCossa染色を行い面積,分布を数値評価を進めている.間葉系幹細胞からの転換した線維芽細胞(CD34),血管周囲細胞由来線維芽細胞(PDGFRβ,NG2),心臓心膜臓器特異性線維芽細胞(Tcf21, Meflin),筋線維芽細胞(αSMA)等を同定し,画像解析アプリケーションを用いて,各陽性細胞の数・分布・相互距離の解析を進めている. 同時に,PDGFRβ及びMeflinは血管内皮細胞にも陽性であるため,未熟血管内皮細胞,成熟血管内皮細胞も併せて同定し,線維芽細胞と比較を行なっている. collagen,PDGFRβ及びMeflin の蛍光三重免疫染色を行い,線維増生と各線維芽細胞の関係性を画像解析で評価を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
IgG4関連心膜病変の線維化プロセスの解明を終了する. 石灰化についてCossa染色標本の面積,分布を数値評価を終了する.間葉系幹細胞からの転換した線維芽細胞(CD34),血管周囲細胞由来線維芽細胞(PDGFRβ,NG2),心臓心膜臓器特異性線維芽細胞(Tcf21, Meflin),筋線維芽細胞(αSMA)の・分布・相互距離の解析を終了する.未熟血管内皮細胞,成熟血管内皮細胞も併せて同定し,線維芽細胞との比較を終了する. collagen,PDGFRβ及びMeflin の蛍光三重免疫染色を行い,線維増生と各線維芽細胞の関係性を画像解析で評価を終了する.各線維芽細胞について, RNA in situ hybridization (ISH)及び,MMPsとのdual ISHによる解析を加える.
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