研究課題/領域番号 |
23K08297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松浦 奈都美 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20572853)
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研究分担者 |
横田 直哉 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10636492)
矢島 俊樹 香川大学, 医学部, 教授 (20346852)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | bFGF徐放ゼラチンシート / 肺葉切除術 / ハイブリッドビーグル / 気管支断端 |
研究開始時の研究の概要 |
気管支断端瘻は致死的な経過を辿る可能性のある最も重篤な術後合併症である。手術適応の拡大に伴い、高リスク患者への肺切除術は今後ますます増加することが予想されているが、これまで気管支断端の創傷治癒を促進させる補強材などは未だ開発されていない。bFGFは線維芽細胞の増殖因子であり、最も強力な血管新生因子の一つである。本研究ではこのbFGF徐放ゼラチンシートを補強材として気管支断端に用いることで、血管新生と線維芽細胞を増殖させ、創傷治癒を促進させることが可能であるかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
手術適応の拡大に伴い、今後ますます高リスク患者への手術は増加していくことが予想される。一方、気管支断端瘻は最も重篤な術後合併症として重要視されてきたにも関わらず、断端の創傷治癒を促進させる補強材などは未だ開発されていない。我々はこれまでbFGF徐放ゼラチンビーズやシートを用いて再生医療に取り組んできた。特に、bFGF徐放ゼラチンシートを肺表面に貼付することで毛細血管新生を誘導し、肺の単位面積あたりの血管密度が上昇したことから、気管支断端に補強材として用いることで同様にサイトカインをデリバリーできると考えた。これまで主に使用してきたサイトカイン(bFGF/BMP)はフィブラストスプレーとしてすでに臨床応用されており、人体への安全性は比較的担保されている。また、ゼラチンに関しても生体材料としてすでに人体への安全性は確認されていることから、本方法は臨床応用に直結する。 本年度はまずゼラチンシートの作成を行った。具体的には、等電点5.0の酸性ゼラチンを超純水中に溶解させ、5 wt%水溶液を作成する。0.1%グルタルアルデヒドを添加してバランスディッシュへ流し込み、4℃で12時間架橋反応を行う。37℃で1時間洗浄してグルタルアルデヒドを除去した後に、凍結乾燥させる。使用直前にbFGF溶液を含浸させるため、作成したゼラチンシートは30×30×1mmにカットする。 さらに予備実験として、ハイブリッドビーグルに開胸右中下葉切除と副葉切除を施行し、気管支断端にゼラチンシートを縫着できることを確認した。術後に大きな合併症がなく生存可能であることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人事異動に伴う研究協力者の変更や他業務の圧迫によってやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ゼラチンシートの作成と予備実験を終了したため、今年度はゼラチンシート群・傍心膜脂肪織群・コントロール群をそれぞれ作成する。ハイブリッドビーグルに手術3週間前から0.5mg/kg/日の水溶性プレドニンを筋注し、創傷治癒遅延モデルを作成する。全身麻酔下に右開胸を行い、右中後葉+副葉を切除する。気管支は上葉枝分岐後にメスで切離し、4-0PDSⅡで縫合閉鎖する(ゼラチンシート縫着または傍心膜脂肪織縫着または補強なし)。リークテストで断端からエアリークのないことを確認し、洗浄止血後に閉胸する。術後も0.5mg/kg/日の水溶性プレドニンの筋注を継続し、術後2週間目に犠死させ、気管支断端を摘出して病理学的評価(HEとvon Willebrand factor染色)を行い血管数と浸潤した線維芽細胞を測定する。
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