研究課題/領域番号 |
23K08301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
千田 雅之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70333812)
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研究分担者 |
林 啓太朗 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10323106)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 胸腺癌 / スタチン / MAPK7 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、スタチンが、胸腺癌細胞株の増殖を顕著に抑制することを見出した。さらに、スタチンにより活性化し、且つスタチンの抗癌作用を減弱させるタンパク質としてMAPK7を同定した。本研究は、スタチンおよびMAPK7による胸腺癌制御のメカニズムについて、患者検体ならびに細胞株を用いた臨床的・基礎的な視点からの検討を行い、HMGCR-MAPK7 axisを標的とした新たな胸腺癌治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究ではスタチンとMAPK7 阻害薬による胸腺癌抑制の相乗効果を検討し、両薬剤を応用した胸腺癌治療戦略の基盤を構築する。目的達成のために、以下の研究課題を実施している 。 in vitro 実験:スタチン抗癌作用低下の原因となるMAPK7リン酸化アミノ酸の確定:研究代表者はTy-82細胞においてフルバスタチンによりリン酸化されるMAPK7のアミノ酸残基をすでに同定している。このアミノ酸をアラニンおよびグルタミン酸に置換した変異体の発現ベクターをPCR遺伝子組換え法により作成し、各ベクターをMAPK7 siRNA(非翻訳部、90%以上のタンパク量減少確認済み)とともにリポフェクション法にてTy-82にトランスフェクションし、フルバスタチン(3 μM)およびMAPK7阻害薬(ERK5-IN-1、0.1 μM)存在下で細胞増殖を測定した。アミノ酸変異と各薬剤との組み合わせによる細胞増殖変動の分析結果から、このアミノ酸のリン酸化がスタチン抗癌作用の減弱の主因となることを実証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、研究前半部分をまとめ、学術誌に投稿するべく準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究課題を実施する 。 (A)in vitro 実験:[1] ヒト胸腺癌におけるリン酸化MAPK7発現の解析:外科的に採取した胸腺癌から病理切片を作成し、抗リン酸化MAPK7抗体(入手済み)および抗HMGCR抗体により多重染色する。各々タンパク質の発現と腫瘍悪性度・患者生存率とを比較検討し、HMGCR-MAPK7シグナルと、胸腺上皮細胞癌化との関連性について考察する。さらには、リン酸化MAPK7の胸腺癌悪性度診断マーカーとしての有用性について検討する。[2] In vivo におけるスタチンとMAPK7 阻害薬の胸腺癌抑制相乗効果:本項目ではTy-82 をヌードマウスに移植し、in vivo におけるスタチン・MAPK7 阻害薬の増殖抑制相乗効果を検討する。本実験では、同一個体における腫瘍の相対増殖進行度を数値データとして追跡するため、ルシフェラーゼ発現細胞株をマウスに移植し、in vivo イメージング装置により非侵襲性に体内ルシフェラーゼ活性の測定を行い腫瘍細胞数の指標とする。(a) Ty-82のルシフェラーゼ遺伝子安定発現株の樹立ルシフェラーゼ(Luc)発現ベクターpGL4.50[luc2/CMV/Hygro]をリポフェクション法にてTy-82に導入しクローン化を行う。クローン化細胞の一部を用いてLucアッセイを行い、発光度の最も強いクローンを選抜する。 (B) 動物実験:Ty-82細胞に対するスタチンおよびMAPK7阻害薬の増殖抑制相乗効果:細胞をヌードマウスの両腋皮下に移植し、100-200mm程度に成長後、スタチン(5,10 mg/kg)およびMAPK7阻害薬(ERK5-IN-1、10,20 mg/kg)の腹腔内投与を行い、Luc活性を測定し、細胞増殖抑制効果を評価する。
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