研究課題/領域番号 |
23K08311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324524)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 肺移植 / 心停止後臓器提供 / 臓器保存 / 虚血再灌流障害 / 薬剤性虚血耐性 / 熱ショックタンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
肺移植におけるドナー肺不足の解消には心停止後臓器提供を可能にすることが必要であるが、そのためにはドナー肺の簡便な長時間保存法の確立、とりわけ薬剤性虚血耐性(pharmacological preconditioning: PPC)の確立が重要である。これまでToll-loke receptor 4(TLR4)に着目した肺虚血再灌流障害の発症機序やTLR4 agonistを用いたPPCの可能性、さらには虚血耐性には熱ショックタンパク質(heat shock protein: HSP)の発現が重要であることを示唆してきた。本研究では肺移植におけるHSPを用いたドナー肺長時間保存法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
【背景】急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における急性肺障害(ALI)は、肺虚血再灌流障害(LIRI)の発生機序と同様であり、その病態解析や治療法の確立において相互に応用可能である。現在、熱ショックタンパク質(HSP)を用いたドナー肺長時間保存法を模索しているが、マウスを用いたALIモデルにHSP27/HSP70をexogenousに投与しHSPの有効性を検討した。 【方法】予めMAPKAP kinase-2でリン酸化を誘導したHSP27(prHSP27)、可変領域フラグメントを付与したHSP70(Fv-HSP70)、及び生理食塩水を前投与したCD-1マウスにLPSを経気道的に投与し、24時間後にALI(permeability index、BALF中の細胞数、MPO活性)を評価した。また、前投与30分に MyD88/TRIF活性及びNF-κB活性をHSP27/HSP70活性と共に系統的に評価した。【結果】HSP27投与群及びHSP70投与群では生食投与群と比べALIは有意に抑制された。HSP27投与群ではLPS投与直前にMyD88/TRIF/NF-κBの有意な活性化を認めなかった。一方、HSP70投与群ではLPS投与直前にTRIF/NF-κBの有意な活性化を認めたが、HSP27投与群と同様にMyD88の有意な活性化を認めなかった。【考察】ALIのおけるHSPの有効性が認められた。HSP27による臓器保護作用はTRIFやNF-κBの関与を必須とせずHSP27による直接的作用か、間接的なapoptosis抑制作用かのいずれかの可能性が示唆された。一方、HSP70はMyD88非依存経路を介した臓器保護作用の発現が示唆された。したがって、作用機序の異なるHSP27及びHSP70の複合投与は単独投与と比べ長時間で高い肺障害抑制効果が期待され、ドナー肺長時間保存法への応用が期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書及び交付申請書に明記した「令和5年度の研究実施計画」通りに概ね進行している。 実験モデルは異なるもLIRIと発生機序が同じかつモデル作製が簡便なALIにおいてHSP27及びHSP70それぞれの有効性に加え作動機序の相違も示唆したことで、「研究の目的」の①exogenousなHSP27及びHSP70にて薬剤性虚血耐性(pharmacological preconditioning: PPC)が作動するかどうかを検討する。特に、分子量の相違によって作動時間や作動機序の異なるPPCが誘導されるかどうかも検討する、についはその目的の多くをclear出来たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書及び交付申請書に明記した「令和6年度以降の研究実施計画」通りに研究を推進することで、研究期間内にexogenousなHSP27及びHSP70にてPPCが作動するかどうか、さらに分子量の異なるHSP27及びHSP70を複合的に投与し、より長時間作動のPPCは可能かどうかについて検討することが可能であると考える。
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