研究課題/領域番号 |
23K08315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
櫻井 禎子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80760496)
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研究分担者 |
狩野 孝 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70528455)
舟木 壮一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50464251)
福井 絵里子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90814591)
木村 亨 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90580796)
大瀬 尚子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10570559)
新谷 康 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90572983)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肺移植 / 移植免疫 / 肺胞マクロファージ / 虚血再灌流障害 |
研究開始時の研究の概要 |
肺移植では術後早期に生じる虚血再灌流障害(IRI)が、急性期・慢性期の術後生存率を低下させる合併症につながるが、近年、肺移植後IRIにドナー由来肺胞マクロファージ(AMQ)が大きな役割を果たすことが示唆される一方、肺移植後の具体的な挙動や周囲への影響は未解明で、本研究の第一の目的として、AMQ欠損動物モデルを用いた肺のIRIおよび移植後慢性拒絶モデルを作成し、肺移植の状況に近づけAMQの炎症経路を確認し、その制御方法を探索する。第二の目的として、ヒトの肺移植後検体を用いてAMQの経時的変化を解析する。最終的にAMQの制御による肺移植後成績改善のための新規治療戦略の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
肺胞マクロファージ(AMQ)の細胞株での炎症評価としては、マウスAMQの細胞株AMJ2C11を用い、低酸素実験を行う。酸素濃度21%、37 度で24 時間培養・定着させ、酸素濃度1%未満、37度で4時間保存(温虚血)とした。低酸素下でのサイトカイン放出を検討として行うため、これらのコンディションドメディウムを回収し、培養していたマウス気道上皮細胞MLE12へ添加し、これらに低酸素負荷を与えた場合、MLEの生存率に影響していた。 また、動物実験モデルでのAMQの炎症評価をするため、Lewisラットを用いた虚血再灌流のモデルを作成した。また、国際的に整備されつつある心停止ドナーモデルの作成を実施した。これらの動物実験モデルでは、動物としてラットを使用し、25分程度の死戦期の再現に経静脈麻酔薬を用いた。その後既定の温虚血時間を設け、同種左肺移植を実施、2時間の再灌流後の犠牲死としている。 なお、これらに追加し拒絶モデルの作成として、上記同様全身麻酔下で左片肺移植を行い閉胸、再灌流の後はTacrolimusを投与し続け、犠牲死させることで術後亜急性期の免疫反応を評価する。これらの気管支肺胞洗浄液または肺組織においてFACSで詳細な分画を解析、遊走するMDMQやAMQでのM1/M2比を同定し、細胞内タンパクや抗炎症蛋白はqPCRやELISAで測定する。 ヒトにおける移植後のAMQと拒絶・感染の検証:本学附属病院は肺移植施設であり、移植後の患者に関して可能な症例では拒絶や感染状態のモニタリング目的に経気道的肺生検と気管支肺胞洗浄を実施している。これらの残検体からAMQを抽出する方法としてセルブロック作成し、蓄積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺胞マクロファージを取り巻く環境の評価として細胞株での細胞実験を実施した。半浮遊細胞であるマウス肺胞マクロファージ細胞株にたいし低酸素負荷を加えたコンディションドメディウムを用いてマウスの気道上皮細胞を培養し、増殖能評価をした。 また、in vivoの肺胞マクロファージ評価として、現在、世界的に適応拡大傾向である心停止ドナーにおける肺移植を模した動物実験モデルの作成した。モデルの概要は、動物としてラットを使用し、25分程度の死戦期の再現に経静脈麻酔薬を用いた。その後既定の温虚血時間を設け、同種左肺移植を実施、2時間の再灌流後の犠牲死としている。 上記は移植直後の虚血再灌流障害の評価モデルであり、免疫反応の超急性期モデルとして作成した。現在は、閉胸しケージに戻す移植後数日の免疫反応を見るモデルの作成を実施しており亜急性期の炎症を評価する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は作成した動物モデルにおいける解析(たんぱく、核酸)、免疫染色を実施している。 これらに加え、今後は肺胞マクロファージ欠損モデルにおいての同様の肺移植を実施しし、肺胞マクロファージがない状況での遊走マクロファージが惹起する免疫反応を確認する予定である。 ヒトにおける移植後のAMQと拒絶・感染の検証としては、移植後の患者に関して可能な症例では拒絶や感染状態のモニタリング目的に経気道的肺生検と気管支肺胞洗浄を実施している。これらの残検体からAMQを抽出・保存方法としてセルブロック作成して現在蓄積している。今後、拒絶群と非拒絶群の比較としてRNA Seq解析などに提出し移植遠隔期における炎症経路の探索に使用予定である。
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