研究課題/領域番号 |
23K08326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小山 倫浩 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00309965)
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研究分担者 |
浦本 秀隆 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90389445)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肺腺癌 / SGLT / 予後 / SGLT2 / 糖輸送 / 免疫化学染色 |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌の発症・進展リスクを低下させることは社会的要請の高い重要な医学的課題である。癌の悪性化・増殖に伴い癌の糖代謝は亢進しており、SGLTsodium glucose transporter:(ナトリウム・グルコース共役輸送体)による能動的な糖の癌細胞への輸送の可能性が新規に指摘された。本研究では、切除肺腺癌においてSGLT1・SGLT2の発現を検出して、臨床病理学的にし、肺癌などのCell lineによるSGLT発現を遺伝子レベル・蛋白レベルで検討する。以上より、糖尿病治療薬SGLT2阻害剤による肺腺癌制御メカニズムの解明を試みることで、先制医療といった次世代高度医療に益すると考える。
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研究実績の概要 |
2020年には我が国の死亡者数は137万人であり、そのうち38万人(28%)は癌で死亡している。癌死亡数の臓器では肺癌が最多であり7万5千人を占めている(癌死亡数の20%)。肺腺癌は肺癌の約60%を占め、肺腺癌を正確に診断し安価・安全に加療することは社会的な課題である。 ヒト・哺乳類細胞における細胞膜を介した糖分子の輸送は、SGLT(sodium glucose transporter:ナトリウム・グルコース共役輸送体)によるATP(Adenosine triphosphate)依存性のエネルギーを必要とする能動的な輸送と、エネルギーを必要としない促進拡散によるGLUT (glucose transporter:グルコーストランスポーター)による受動的な輸送により行われることが知られている。 一方、癌の悪性化・増殖に伴い癌の糖代謝は正常細胞に比べ相対的に亢進している。今回、新規に癌の糖吸収亢進にはエネルギーを必要としないGLUT (glucose transporter)による糖の吸収のみならずSGLT(sodium glucose transporter)による能動的な糖の癌細胞への輸送の可能性が指摘された。このため、今年度、切除肺腺癌においてSGLT1・SGLT2の発現を検出して、肺腺癌においてSGLT2陽性例と陰性例の再発・予後の差を検討するため以下の研究を行った。1)肺癌切除肺約199例を対象として病理病期・糖尿病の有無・喫煙量などの臨床病理学的情報の集積を行なった。2) 対象例約199例の切除肺からパラフィン包埋切片を作製し、HE(hematoxylin and eosin stain)染色により組織学的診断を行った。3) 切除肺切片の肺癌をSGLT2で免疫組織化学染色して、SGLT2陽性例と陰性例の再発・予後の差を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の初年度に計画した研究が終了したため概ね順調に進展していると考える。 1)肺癌切除肺約199例を対象として病理病期・糖尿病の有無・喫煙量などの臨床病理学的情報の集積を行なった。 2) 対象例約199例の切除肺からパラフィン包埋切片を作製し、HE(hematoxylin and eosin stain)染色により組織学的診断を行う。(約90%の作業が終了している) 3) 切除肺切片の肺癌をSGLT2で免疫組織化学染色して、SGLT2陽性例と陰性例の再発・予後の差を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究が概ね終了したので次の研究方針を遂行する予定としている。 ①今年度行った症例に加えて200例程度の切除肺腺癌においてSGLT1・SGLT2の発現を検出して、肺腺癌においてSGLT1・SGLT2陽性例と陰性例の再発・予後の差を検討する。②肺腺癌において糖尿病合併例の内服している血糖降下剤の種類を確認して、SGLT2阻害剤を内服している症例で再発率の低下や予後の向上の有無の検討を行う。③肺癌などのCell line(CL)によるSGLT発現を遺伝子レベル(Real time PCRなど)、蛋白レベル(免疫組織化学染色、ウェスタンブロット法など)で検出する。
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