研究課題/領域番号 |
23K08347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
櫻木 繁雄 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (50750105)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | タウ / 術後機能認知障害 / 輝発性麻酔薬 / イソフルラン / アルツハイマー病 / 光遺伝学 / 術後認知機能障害 / 吸入麻酔薬 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の術後認知機能障害 (POCD)は揮発性麻酔薬曝露によるアルツハイマー病 (AD)病理の増悪が原因のひとつと考えられているが、多くが可逆性のためコンセンサスは得られていない。本研究では「POCDは麻酔薬曝露前の微小管結合タンパク質タウの凝集体量依存的にADへの移行が起こるのか?」と問いを設定し、麻酔薬曝露前のタウ凝集体量によって、曝露後の凝集体の量などの特徴に違いが出るか、POCDやADの病理と関連が示唆されている炎症性サイトカイン・p75NTR経路への影響は異なるかを検証する。
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研究実績の概要 |
術後認知機能障害は全身麻酔手術後に認知機能障害をきたす疾患である。その原因のひとつに全身麻酔薬曝露が挙げられ、認知機能低下は可逆性のことが多く、罹患期間には大きな幅があることが知られている。本研究では、認知機能低下症状がなぜ症例によって長期化するのか、その原因を術前のタウ凝集状態にあるのではないかと仮定し、その検証を行う。また、認知機能低下が不可逆的なアルツハイマー病などの認知機能疾患に変化していくのか、麻酔薬曝露前のタウ凝集状態ごとに検証していくことを目的とする。 今年度は、タウ凝集体がほとんど認められない野生型マウス神経芽細胞腫由来Neuro2a細胞において、揮発性麻酔薬イソフルランの曝露後にタウ凝集が生じるようなイソフルラン濃度や曝露時間などの条件を検討した。その結果、高濃度または長時間では細胞の形態に変化が生じるなどの損傷がみられたが、細胞のコンディションを変えることなく麻酔薬曝露によってタウ凝集を誘導する条件を決定することができた。さらに野生型Neuro2a細胞では、麻酔薬曝露によってタウ凝集が生じた細胞数の割合が対照群に比べ有意に多いという結果を得た。また、イソフルラン曝露によって野生型Neuro2a細胞に生じたタウ凝集の性質を検討し、可溶性タウであることが示唆される結果を得た。 また、光遺伝学的にタウ凝集を誘導できるNeuro2a細胞によって、麻酔薬曝露前のタウ凝集状態を変化させてイソフルラン曝露後のタウ凝集状態を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イソフルラン曝露によるタウ誘導条件を確定させ、麻酔薬曝露前のタウ凝集がほとんどない状態 (野生型Neuro2a)でのタウ凝集の量と性質 (可溶性か否かなど)を検証したこと、また、光遺伝学的手法によって麻酔薬曝露前のタウ凝集体を誘導した状態での麻酔薬曝露によるタウ凝集を観察できたため。
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今後の研究の推進方策 |
光遺伝学的にタウ凝集を誘導した状態での麻酔薬曝露の結果、どのようなタウ凝集が生じるのかを本年度に観察するまでに至ったが、その性質や量などの細部の検討にはまだ至っていない。今後は麻酔薬曝露前からタウ凝集がある状態において、麻酔薬がタウ凝集の誘導にどのような影響を与えていくのか検証していく。
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