研究課題/領域番号 |
23K08387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
徐 民恵 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (60381886)
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研究分担者 |
志田 恭子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (00381880)
大澤 匡弘 帝京大学, 薬学部, 教授 (80369173)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90264738)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 情動系回路 / 情動 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛と情動との関連は、臨床上よく知られているが、情動の神経回路と慢性疼痛の発症機序の関連性は不明である。 本研究では、慢性疼痛の発症機序に関わる情動の神経回路の全体像を解明する。情動の回路である「腹側淡蒼球→視床背内側核→前帯状回」の機能を調節し、疼痛への影響を検討する。神経細胞の機能調節ができるデザイナー受容体を発現したマウスで神経障害性疼痛モデルを作成し、各脳領域の機能調節による疼痛の変化を確認する。また、神経障害なしのデザイナー受容体発現のみのマウスで同様に検討し、情動の回路の関与を特定する。 慢性疼痛に関与する情動の神経回路の詳細が分かれば、新しい診断・治療法の提案ができる。
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研究実績の概要 |
本研究では、慢性疼痛の発症機序に関わる情動の神経回路の全体像を解明することを目的とし、申請者らが神経障害性疼痛モデルマウスの脳活動を網羅的に記録した際に、活性化が顕著であった腹側淡蒼球(VP)→視床背内側核(MD)→前帯状回皮質(ACC)経路に内因的なリガンドでは反応せず、人工的なリガンドで活性化する変異型受容体(DREADD)を、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子導入法により細胞種特異的に発現させて、検証を行う。 まず、神経細胞特異的にDREADDを発現させるため、Green Fluorescence Protein (GFP)を神経細胞へ発現させるベクターを搭載したAAVをVPへ注入し遺伝子発現を検証した結果、VPの神経細胞へ遺伝子導入を行うことができた。また、VPから投射する神経回路を解析したところ、MDへの投射も確認することができた。 次に、VPからMDへ投射する神経のみの機能を調節するため、DREADDを発現させ、神経回路を時空間的に制御可能とした。その結果、VP→MD回路を活性化すると痛み閾値の一過性の低下が認められた。一方、DREADDを発現せず、GFPタンパク質のみを発現するAAVを処置した場合では、人工的リガンドを処置しても、痛み閾値二影響が見られなかったことから、VP→MD回路の活性化が痛み閾値の低下を引き起こしていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の達成目標である腹側淡蒼球(VP)→視床背内側核(MD)→前帯状回皮質(ACC)へ投射する神経回路の時空間的機能調節を行うため、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いて、特定領域の神経細胞への遺伝子導入法を確立することが必須だったが、AAVを用いて、VPの神経細胞へ特異的に遺伝子を導入することに成功した。また、VPの神経細胞特異的に蛍光タンパク質であるGreen Fluorescence Protein (GFP)を発現させ、VP→MDの投射をもつ神経細胞が存在することを確認できた。さらに、人工的リガンドで活性化する変異型受容体(DREADD)をVP→MD回路に発現させることに成功した。次年度に、VP→MD回路を人為的に制御することができることから、慢性疼痛への関与について、検討を行うことできる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に脳領域特異的な遺伝子導入法をアデノ随伴ウィルスベクターを用いて達成することができたことから、本手法を視床背内側核(MD)へも応用し、MDから投射する神経の同定を行う。次に、申請者の仮説通りの神経回路である背側淡蒼球(VP)→MD→前帯状回皮質(ACC)の存在が確認できたら、それぞれの神経回路の慢性疼痛への影響について、行動学的に検討を行う。 次年度では、まず、VP→MDの神経回路の慢性疼痛への関与について、興奮性DREADDと抑制性DREADDを用いて検討を行う。また、MD→ACCの存在を確認し、もし、MD→ACC回路が存在した場合は、その回路の時空間的調節により、痛み閾値への影響を行動学的に解析し、慢性疼痛への寄与について明らかにする。
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