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脳内痛み活性化ニューロンの機能的同定に基づく痛み慢性化ネットワーク変容の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K08391
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分55050:麻酔科学関連
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

高橋 由香里  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20613764)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード扁桃体 / 腕傍核 / 活動依存的分子発現 / 痛みの慢性化
研究開始時の研究の概要

慢性の痛みは、脳内ネットワークの可塑的な変化によって成立するという見解がこの10年ほどで広く認識されてきた。一方、痛みのネットワークを構成する神経核は、痛み以外にも、体性感覚、内臓感覚、一般的情動などさまざまな機能に関与しており、これらの中の「痛み活性化ニューロン」をそれ以外のニューロンと区別し解析することは困難であった。本研究では、特定の状態で活動したニューロンのみに人工的機能分子を発現させることが可能な「Fos-TRAP法」を用い、脳内の「痛み活性化ニューロン」とその間に形成されるシナプスのシナプス伝達を、痛みという機能に基づいて選択的に標識・刺激・抑制・解析し、慢性痛機構を明らかにする。

研究実績の概要

慢性の痛みは、“脳内”ネットワークの可塑的な変化によって成立するという見解がこの10年ほどで広く認識されてきた。一方、痛みのネットワークを構成する神経核は、痛み以外にも、体性感覚、内臓感覚、一般的情動などさまざまな機能に関与することが報告されている。これらの背景から、痛みの関わる「神経核同士の形態的結合やシナプス伝達全体」を解析対象とした場合、その中に含まれる痛み以外の機能に関わる神経の分布や活動に痛みで生じる変化が埋もれてしまい、慢性痛の背景となる脳内ネットワークの変化を的確にとらえられない可能性がある。そこで、本研究では、「痛み活性化ニューロン」をそれ以外の機能に関わるニューロンと区別し解析するために、特定の状態で活動したニューロンのみに人工的機能分子を発現させることが可能な「Fos-TRAP法」を用い、脳内の「痛み活性化ニューロン」とその間に形成されるシナプスのシナプス伝達を記録・解析し、慢性痛機構を明らかにすることを目指している。本年度は、痛みの慢性化過程の異なる時点、痛みとそれ以外の刺激における活性化ニューロンの分布を比較検討することを試みた。全脳透明化とライトシート顕微鏡による撮像の条件検討を行い、活性化ニューロンの全脳マッピング、および、特定神経核の活性化ニューロンの軸索投射の立体的撮像が可能となった。しかし、データ取得を進めるに従い、FosTRAP2マウスの脳構造に側脳室拡大が生じている個体が一定数存在していることが判明し、脳を標準化して神経核ごとに活性化ニューロンの発現分布を比較することが困難となった。そのため、FosTRAP2マウスを新たな野生型マウスと交配を繰り返し、現在脳室拡大の問題を解消し、再度実験に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究で使用するFosTRAP2マウスに側脳室拡大が生じ、解析対象である扁桃体が吻側に圧縮されるなど脳の構造的が脳地図と異なってしまっていることが判明した。過去に交配を行った野生型マウスからその表現型が導入されてしまった可能性が考えられ、新たなブリーダーから野生型マウスを購入し、交配を繰り返し、脳室拡大表現型のない状態に系統を維持する必要があった。その交配に時間が必要であったため、本動物を用いた実験の進捗が遅れた。現在は脳室拡大のない状態になっており、今後予定していた研究を順次進める。

今後の研究の推進方策

次年度は、FosTRAP2マウスの脳構造の問題が現在は解消されたため、研究計画で予定している、計画1:痛み活性化扁桃体中心核ニューロンの扁桃体局所ネットワークでの機能的位置づけの解析、計画2:痛み活性化ニューロン全脳マッピングを並行して実施し、比較検討事項1:痛みの慢性化過程での痛み活性化ネットワーク活動の変化、比較検討事項2:反復侵害刺激や全身炎症などの因子が痛み活性化ネットワーク活動・痛みの慢性化に与える影響について検討する。特に、今年度計画2の条件検討が大きく進捗したので、今後得られたデータをもとに定量解析を進めていく予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Universitat de les Illes Balears(スペイン)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Pregabalin attenuates long-lasting post-inflammatory nociplastic mechanical sensitization in mice2024

    • 著者名/発表者名
      Manami Yajima, Yukari Takahashi, Yae K. Sugimura, Fusao Kato.
    • 雑誌名

      Neurobiology of Pain

      巻: 13 ページ: 100131-100131

    • DOI

      10.1016/j.ynpai.2023.100131

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Presynaptic inhibition of excitatory synaptic transmission from the calcitonin gene-related peptide-containing parabrachial neurons to the central amygdala in mice - unexpected influence of systemic inflammation thereon2024

    • 著者名/発表者名
      Naoko Sato, Yukari Takahashi, Yae K. Sugimura, Fusao Kato.
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 154 号: 4 ページ: 264-273

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2024.02.004

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Systemic inflammation affects the synaptic signaling between neurons in the parabrachial nucleus and central amygdala2023

    • 著者名/発表者名
      Naoko Sato, Yukari Takahashi, Yae K. Sugimura, Fusao Kato.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 2023 annual meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Long-lasting mechanical sensitizaton at the hindlimb primed by trigeminal inflammatory pain is attenuated by analgesics affecting amygdala activities in rodents2023

    • 著者名/発表者名
      Manami Yajima, Yukari Takahashi, Sumii Yamamoto, Hiroshi Kawahara, Fusao Kato.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 2023 annual meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Functional and anatomical analysis of the connections between neurons activated in the process of pain chronification2023

    • 著者名/発表者名
      Yukari Takahashi
    • 学会等名
      FAOPS2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] ペインクリニック Vol. 45 No.3 (2024年3月号)2024

    • 著者名/発表者名
      高橋 由香里,加藤 総夫.
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      株式会社シービーアール
    • ISBN
      9784911108338
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] JIKEI NEUROSCIENCE

    • URL

      https://website.jikei-neuroscience.com/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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