研究課題/領域番号 |
23K08417
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
原 将人 久留米大学, 医学部, 准教授 (10330862)
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研究分担者 |
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 教授 (50228144)
首藤 隆秀 久留米大学, 医学部, 准教授 (70412541)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 恐怖条件付け / 麻酔薬 / デクスメデトミジン / PTSD / 恐怖記憶 / アドレナリン受容体 / 麻酔・鎮静 |
研究開始時の研究の概要 |
手術や集中治療の過程でさらされる痛みや恐怖、身体的拘束を伴う医療経験は、トラウマとなって退院後も長期間にわたり患者の生活を蝕んでいる。本研究の目的は、麻酔・鎮静関連薬剤の恐怖記憶や不安・抑うつ行動への影響を分析し、手術や集中治療に伴う医療PTSDとも言える病態に対し、発症予防や治療の可能性を探ることである。PTSDモデル動物の麻酔薬投与による行動変化の分析、ファイバーフォトメトリーシステムによる行動実験中の神経活動のリアルタイム解析、受容体発現量の測定や細胞内シグナル伝達解析などを用いて、PTSDへの薬剤への影響を多層的に分析する。
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研究実績の概要 |
2023年度は研究計画の初期段階である恐怖条件付け実験にあたり、実験装置購入業者の選定と注文を行った。実験装置は小原医科器械株式会社に注文し、2023年9月下旬に納品された。実験装置納入までの期間は、マウス脳への遺伝子導入のためのウイルスベクター注入手技や、ファイバーフォトメトリのための光ファイバー埋め込み手技を習得し、行動実験確立後の計画に向けた準備を行った。 恐怖条件付け実験装置の納品後はフットショックの刺激強度や回数、音による条件刺激の長さなど、基本的な条件設定に続き、薬理学的介入を含めた恐怖条件付け行動実験を行った。恐怖条件付けに対し、α2アドレナリン作動薬のデクスメデトミジン(DEX)による薬理学的介入を行った。DEX 20μg/kgを恐怖条件付けの30分前にマウス腹腔内に投与すると、Cued testにおけるすくみ行動が減少することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
恐怖条件付け実験において、恐怖記憶の増強をみる実験のうち、Contextual testでは予想どおりのすくみ行動がみられたが、Cued testによるすくみ行動の比率が不安定かつ明らかに予測より低い。このため薬理学的実験などの介入実験に遅延を生じている。現在、解決に向けて恐怖条件付けの事前に数日間のハンドリングを行ったり、ショックグリッドに入れる操作や腹腔内投与のリハーサルを行うなど、恐怖条件付け実験の基本的な条件や手法の見直しと試行を繰り返している。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べたように、現在の課題は恐怖条件付け行動実験を確立することであり、実験のコンディションを見直している。Cued testで安定したすくみ行動が得られるようになれば、デクスメデトミジンなど麻酔関連薬剤の恐怖条件付けに対する効果を調べる。また、DBH-Creマウスを用いて青斑核から海馬歯状回に投射するノルアドレナリン神経活動を制御し、デクスメデトミジンの恐怖条件付けに対する効果のメカニズムを裏付けする。さらにはファイバーフォトメトリと恐怖条件付けを同期させる実験系の確立を目指す。
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