研究課題/領域番号 |
23K08426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小谷 穣治 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80360270)
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研究分担者 |
西田 修 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20208185)
井上 茂亮 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (30582209)
酒井 良忠 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90397802)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 好中球 / 敗血症 / 筋肉 / PICS / PICS(集中治療後症候群) / 筋肉萎縮 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症患者や重症患者の長期予後は未だ不良である。その原因として、集中治療後症候群(PICS)が挙げられる。敗血症患者では身体機能障害が多く認められ、解決すべき課題である。これまで、我々は敗血症の約25%に筋力と筋肉量の低下を認め、そこに好中球が浸潤していることを報告した。しかしながら、敗血症後の好中球が治療ターゲットとなるのかは不明である。本研究では、①好中球の筋肉内浸潤とPICS発症の関係を明らかにし、②好中球の浸潤を制御することで筋萎縮の新規治療法を探索する。PICSは現代の集中治療医学における喫緊の課題であり、筋萎縮の機序解明と新規治療法の開発に貢献する基盤的な研究である。
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研究実績の概要 |
以下に、本実験でえられた結果をまとめた。 方法:7週齢の雄性C57BL/6Jマウス8-12匹(セカルスラリー[CS]モデル)に1mg/gのセカルスラリーを腹腔内注射することにより敗血症を誘発した。体重および握力の変化率を評価した。前脛骨筋を解剖し、筋線維の断面積を顕微鏡で調べたり、免疫細胞の蛍光活性化セルソーティング(FACS)解析を行った。これらの変化を以下の条件で評価した:(1)61日目までの経時的変化、(2)低濃度(0.3mg/g)、中濃度(1.0mg/g)、高濃度(2.0mg/g)における14日目のCS濃度依存的変化、(3)好中球を枯渇させる抗Ly6G抗体で処理した14日目のCSマウスで同様の検討を行った。 結果:体重および握力は、61日目までCSモデルで有意に低かった(体重:123.1%±1.8% vs. 130.3%±2.5%、p = 0.04;握力:104.5%±3.8% vs. 119.3%±5.3%、p = 0.04)。同様に、筋横断面積はCS導入から61日目まで徐々に減少した(895.6 [606.0-1304.9] mum(2) vs. 718.8 [536.2-937.0] mum(2)、p < 0.01)。筋局在好中球数は、0日目の2.3±0.6cell/mgから14日目の22.2±13.0cell/mgまで増加し、その後減少した。CS濃度に依存した変化としては、CS高値群では対照群に比べて断面積が小さく(484.4±221.2対825.8±436.2 mum(2) [p < 0.001])、握力は低く(71.4±12.8%対116.3±7.4%、p = 0.01)、好中球が増加した(p = 0.03)。Ly6G欠失マウスは、対照マウスと比較して、筋断面積および握力の有意な増加を示した(p < 0.01)。 結論 敗血症は筋肉に好中球の浸潤を引き起こし、筋萎縮と筋力低下をもたらす。筋肉中の好中球を減少させると、敗血症による筋萎縮と筋力低下が逆転した。これらの結果は、敗血症による筋萎縮と筋力低下に好中球が重要な役割を果たしている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床業務と並行して実験を行っているので進行速度は早くはないが、やるべき実験は行い、また結果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
好中球浸潤と筋力の低下の機序を明らかにする。
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